■同じ障害のある子や家族に出会って
以前、Get in touchの東ちづるさんと対談をした時に「脱・かわいそう」というテーマでお話をしたことがあります。ちづるさんは「私が活動してもかわいそうに見えないでしょ?」と笑顔で仰っていました。そしてGet in touchはまぜこぜの社会を目指して活動しているため、「脱・かわいそう」という視点が重要なのだと聞き、私の考えととても近くてうれしくなりました。
私が運営するNPO法人かるがもCPキッズも「脱・不幸」や「脱かわいそう」をひとつのコンセプトにしています。生まれてきた赤ちゃんに障害があるとわかった時、大半のパパやママは、不幸のどん底にいます。身近に障害のあるお子さんがいないことも多く、自分だけが障害児を育てているような気持ちになってしまうのだと思います。
かるがもCPキッズのイベントに来るご家族や、ピアサポートを利用するパパやママの多くは、0歳~小学校低学年のお子さんの保護者です。まだ子どもの障害を受け入れることができずに悩んでいるご家族が、「脳性まひ」を前面に出して活動している私たちにコンタクトを取ることも、すごく勇気が必要だったと思います。ところが、はじめは不安でいっぱいでいつも泣いていたママが、イベントに来て同じ障害のあるお子さんやご家族に出会い、少しずつ障害のある子どもを育てる環境を受け入れていき、そして、いつの間にかこのイベントに来なくてもポジティブでいられるようになったというケースを、私はたくさん見てきました。その頃にはパパやママにはもう、お子さんに対して「かわいそう」という視点はなくなり、サポートしてきた私たちの役目も終わります。
以前、なにかの取材で、かるがもCPキッズの存在価値を考えた時に、そんな結論に至りました。
それでも、保護者と当事者の受け入れ方は少し違うのだと思います。夫や私より、息子の方が葛藤は長く続くのかもしれません。大人になりかけている息子が、今後自分の足をどう捉えていくのか。私もまだまだ彼から学ぶことがたくさんあります。
※AERAオンライン限定記事