1人目の出産が安産だったことや、その頃から収録の合間に授乳をしていた経験が、名塚さんの自信につながったという。
「仕事も子どもも大好きなんです。両方あるのが、私にはバランスのいい状態。仕事をしているから子どもと向き合う時間をより貴重に感じることができるし、家族に胸を張れる作品にしたいと、仕事も頑張れます。フィルムレッドも娘と一緒に観に行きましたが、すごく喜んでくれてうれしかったです」
■空気感も声に込める
子育てを通して声優としての幅も広がった。母親役はもちろん、子どもを持たない生き方にも目が向くように。周囲との関係も深まり、「子どもはほしいけれど仕事があるから、と迷っている仲間がいれば、助けてあげたいし、安心して子育てできるような環境になっていったらうれしい」と話す。
名塚さんはこれからどんな声優に成長していきたいのだろう。
「ルフィ役の田中真弓さんやシャンクス役の池田秀一さんなどの先輩とご一緒して、感情を込めるだけでなく、どういう状況で誰に話しているのか、どれくらいの距離感なのか、空気感も声に込める演技が素晴らしいと思いました。私も、そんな微妙なニュアンスまでセリフに込められるようになりたいです」
(ライター・角田奈穂子)
※AERA 2022年10月3日号