かくして氏が推し進めた「ペレストロイカ」(言論・報道・経済の開放などを盛り込んだ連邦再構築政策)により、ゴルバチョフ氏はソ連で最初の大統領となりました。ところがこの急激とも言える民主化により、皮肉にも連邦各国の民族意識が高まり、同時に連邦保守派からの反発を買い、翌年には事実上の失脚を余儀なくされたゴルバチョフ氏。その流れでソビエト連邦は一気に解体される運びとなったのです。

 ロシアにとって、国際社会との融和が実現した「ゴルビー時代」というのは一方で、その「顔の良さ」故に、西側的価値観に取り込まれ弄ばれた時代だったとも言えるでしょう。そしてそれは後悔や教訓となり、改めて冷徹かつ暗黒な国に回帰することが、プーチンを始めとする現政府のプライドになっているのかもしれません。「2度目のペレストロイカ」への道のりは長い。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年9月16日号

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