自らの才を発揮する、最高のチャンスをつかんだ。滝沢秀明演出のオリジナルミュージカル「流星の音色」で、主演のみならず音楽も担当する京本大我(SixTONES)。突出した歌唱力を誇り、数々のミュージカルに出演してきた集大成となる大舞台を前に、己を鍛え上げた高すぎるプロ意識と、それゆえの葛藤を明かした。

【写真】京本大我さんが表紙を飾った2021年の「週刊朝日」

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──「流星の音色」の製作が決まった経緯は?

 滝沢くんと外部の舞台を観に行った帰り、「舞台やりたくなりますね」みたいな話をしたら、「僕が原案と演出やるよ」って言ってくれて、「やってみたいです」って。僕は「滝沢歌舞伎」ふくめ、ずっと滝沢くんにお世話になってきた人間だから、滝沢くんの演出で舞台に立てるって素敵だし恩返しにもなるかなと思ったんです。

 恋愛ものの作品にするうえで、主人公はピュア系か、女をたぶらかす系かの二択でした。義経や光源氏など案を出しあった結果、ピュアでいこうと、七夕がテーマの物語になりました。

──今作のようなジャニーズ発の舞台と外部の舞台で、違いはある?

 全然違いますね。僕あんま嘘つけない人間だから素直に言うと、外部はジャニーズイズムが通用しない。ぶっつけ本番でやる精神だったり、ジャニー(喜多川)さんのぶっ飛んだ発想特有のオリジナリティーだったり。

 ジャニーさんって、ここでこの曲来るんかい!みたいな矛盾も、「それでいいんだよ」って気にしない人。昔は疑問を持たずにただがむしゃらにやってたけど、いろんなことを細かく丁寧にやる外部の舞台を知ってからは葛藤がありましたね。「エリザベート」の後に「少年たち」をやったときは、「これはおかしいと思う」って反発したこともあったし。主演の一人だからって僕の作品ではないのに、若かったな。

 ただ、今回も滝沢くんに思ったことをぶつけたりしてるんですよ。「ここ、僕的によくわからなくて……」とか。でも滝沢くんは、「大我の気持ちもわかるけど、僕はこういう気持ちでこれを入れてる」っていうのが明確にあるから、ついていこうってなります。

 舞台って、こうでなきゃいけないなんてない。最近も「ハリー・ポッター(と呪いの子)」や(生田)斗真くんの「てなもんや三文オペラ」などいろいろ観てますけど、全部それぞれちがうから。5年前だったら、「流星の音色」をいかに本格ミュージカルに昇華するかに執着しただろうけど、今は「流星の音色」の良さを出せるようにっていう考えに変わりました。

 外部の舞台で共演した方がジャニーズの舞台を観に来てくださると、みんな「ジャニーズってすごいんだね」って言うんです。だから一つのエンタメの形として、人を圧倒させられる何かがあると思ってます。

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