ジャーナリストの田原総一朗氏は、ウクライナに強硬姿勢のプーチン大統領に、バイデン大統領が有効策を打ち出せるか注視する。
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ロシアのプーチン大統領は2月24日、ウクライナ東部で特別軍事作戦を行うことを決めたと発表し、ウクライナのクレバ外相はロシアがウクライナへの大規模な再侵攻を始めたと述べた。複数の都市が標的になっているとして、全面的な攻撃だ、と非難した。
ロシア軍がウクライナ南部の港湾都市オデッサやマリウポリに上陸作戦を仕掛けているとの報道もあった。米CNNは24日、現地時間早朝にウクライナの首都キエフで複数の爆発音が聞こえた、と報じた。
プーチン氏の決定を受け、バイデン米大統領は「プーチン大統領は悲劇的な死と苦しみをもたらす計画的戦争を選んだ」と非難した。それより前、プーチン氏のロシアが、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立を承認し、進駐を決めた動きを、「侵攻の始まりだ」と認定し、米ロ間の外交協議を止めることになった。
ブリンケン米国務長官は、24日に予定されていたロシアのラブロフ外相との会談を中止すると表明。侵攻しないことが会談開催の前提条件だったことから、「今や侵攻が始まり、会談を実施する意味はない」と述べた。
そして外相会談後に開催が見込まれていたバイデン氏とプーチン氏の首脳協議も「現時点では計画にない」(サキ米大統領報道官)と白紙になった。
米国と協調し、欧州連合(EU)もロシア制裁で合意した。独立承認の決議に賛同したロシア下院議員351人やロシアの政策決定に携わる当局者、偽情報の発信や防衛装備品の調達を支える企業、銀行など27の個人や組織を対象とし、EU内での資産凍結や域内への渡航を制限した。
岸田文雄首相もロシアに対する制裁措置を発表。(1)ロシアが独立を承認した地域の関係者に対するビザ発給停止と資産凍結(2)この地域との輸出入の禁止(3)ロシアによる日本での国債などの発行・流通禁止──の3点で、詳細は今後詰めるという。