5月に来日し、AERAの単独インタビューに応じたフィンランドのサンナ・マリン首相。ジェンダーや機会の平等について力強く語った。垣間見た素顔は自然体で、人を大切にする人だった。AERA 2022年8月8日号から。
* * *
今年5月、フィンランドがNATOへ加盟を申請するという歴史的な出来事の1週間前の訪日、そしてインタビューだった。全世界からその言動が注目されていたタイミングで、全身からオーラを発していた。NATO加盟に関する受け答えはきわめて慎重で表情も硬かったが、これは仕方のないことだろう。
すらりと背が高く、優雅な物腰。黒のパンツスーツに白のブラウスというシンプルなファッションなのに、華がある。36歳という若さで、首相に就任したときは34歳だ。
「あなたのその若さが、国を率いるリーダーとして国民に不安を与えなかったのか」と失礼を承知でたずねると、コロナ禍への対処、ウクライナ関連の決断、教育改革、カーボンニュートラル政策など次々に実績を並べた。NATO加盟についての答えの時とは違い、こちらをまっすぐに見てにっこりと笑みを浮かべながら、自信に満ちあふれた表情だった。