■抗原定性検査の信頼度
また、飲食店などが感染対策の「認証店」になる条件として、東京都などは、客が対面に座るテーブル上へのアクリル板などの設置を挙げています。しかし、アクリル板など遮蔽物を置くと空気が滞留し、かえって換気を妨げ、むしろ逆効果になる可能性があります。それより、換気が悪いと濃度が高くなる二酸化炭素(CO2)の濃度測定器の設置をもっと広めて、換気のいい店であることを数値で客観的に示すようにした方が効果的だと思います。
流行中のウイルスよりも感染が広がりやすいとされるBA.5などオミクロン株の別の系統への感染者が都内で確認された。
そうした系統がすでに流行しつつある国で、重症患者が増えたという報告はありません。12歳以上のワクチンの3回目接種や、60歳以上と基礎疾患のある人への4回目接種が進めば、第5波のように入院患者が大幅に増えて医療崩壊する事態は起こらずに済むと予想します。
ですが、急に対策を緩めることに不安を感じる人は少なくないでしょう。その場で検査結果が出る「抗原定性検査」をもっと多用すれば、感染対策を緩和しながらも安全に、会食などを含めた不特定多数が集まる活動を増やすことができるはずです。東京都医師会が5638人を対象に調べたところ、抗原定性検査とPCR検査の結果の一致率は陽性の場合約98%、陰性で約87%でした。
抗原定性検査キットの価格がもう少し安くなれば、飲食前などに検査をし、陰性ならマスクをはずして楽しい時間を過ごせると思います。ただし、「体外診断用医薬品」として国が承認した検査キットでないと精度は担保されません。
(構成/科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2022年6月6日号