午前中は手間取ることもあったが、次第に慣れ、特に大きな混乱が起こることなく終えることができたと安堵の表情だ。男性はこういう。
「自衛隊が運営責任者ということもあってか、みんな非常にきびきびと規律をもって動いていましたね」
21日に会場で予行演習を行ったという。参加した別のアルバイトの男性によると、体調不良の人が出たらどう対応するか、火事が発生したらどう誘導するかなどあらゆるハプニングに対して予行演習をしていたという。
「予行演習のときよりもスムーズに動いていました。今日までの2日間で運営側が頑張って改善させたんでしょう。今日は思ったよりもワクチンを打ちに来る高齢者が少なかったです。スタッフが十分にいて、不測の事態に対応できるようにしていた印象です」
東京会場では最大で1日1万人がワクチン接種できる。しかし、30日までは余裕を持って接種を行うため、1日5千人規模でワクチン接種を進めていく予定だ。菅首相も会場を視察し、混乱なく進むワクチン接種にご満悦の様子だったという。防衛省関係者はこういう。
「受付では予約で入力された接種券番号と生年月日のデータしかないから、本人が持参した接種券番号や生年月日が異なっても、基本的にはスルーしていたようです。菅首相が視察に来るので、混乱しないことを最優先にしたと聞いています。携帯電話会社のデータでは、大手町周辺にかつてないレベルで高齢者層の人流の塊ができているそうです。クラスターなどにならないことを祈りますが…」
ワクチン接種会場の最寄り駅・大手町駅から接種会場までの道のりではこんな一幕があった。
「ワクチン接種会場はもうすぐ?」
「この先です。もうちょっと頑張ってください」
「長いねぇ」
大手町駅の地下通路で、高齢者の女性と駅員の間でこんなやり取りをしていた。大手町駅といえば、都内でも有数な複雑な構造を持つ駅だ。駅には東京メトロの丸の内線、東西線、千代田線、半蔵門線があり、都営三田線もある。大手町駅周辺で地上への出口は優に40個を超える。