ララ(写真右)とプリ(同左)【隅田さん提供】
ララ(写真右)とプリ(同左)【隅田さん提供】

 4年前、妻が営む喫茶店に犬の保護活動をしている人が1匹のスタンダードプードルを連れてきた。

 なんでも高齢な飼い主が施設に入り、共に暮らしていた小型犬と猫は早々に引き取られたが、15キロと大型の彼女は新しい飼い主との縁に恵まれず、名古屋、軽井沢、逗子と旅してきたらしい。

 看板犬にどうかと問われたが、命に対して責任が生じることなので丁重にお断りした。しかし、その時の彼女の目が切なくて後ろ髪を引かれた。

 数日後、妻に「あの犬、トライアル(お試し)してみようか」と話を切り出し、急いで聞いてもらったが、別のトライアルが始まったと言われた。

 よかったなと思うのと淋しいのとが混ざった複雑な気持ちだった。でも、これで終わりではないという漠然とした確信が残る。

 2、3日して、「あの娘、トライアル駄目だったんだって。うちに来るよ」と店にいる妻からメールが届いた。

 名前を決めていいのならララ(写真右、11歳)がいい、と妻に伝えた。なんとなくだ。

 こうして、うちにその娘は来た。以前からついていた名前は偶然にもララだった。何という確率なのだろうか。

 犬と見つめ合い、触れ合うと幸せホルモンのオキシトシンが増加するらしい。私たちは朝の散歩と触れ合いで、日々心身ともに癒やされている。

 そして運命の犬ララがきっかけで、後肢が不自由なビションフリーゼの保護犬プリ(同左、雄、2歳)を飼うことにもなった。この子は不憫だからこそなおさら愛おしい。

 2人の子どもが家を離れ、今はシッポがある子どもたちと4人暮らしである。

(隅田英明さん/神奈川県/51歳/会社員)

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