普通列車専用フリーパスのベストセラーとして発売中の「青春18きっぷ」。JRグループの普通列車(快速や新快速などを含む)が乗り放題となる基本ルールは広く知られているが、じつは“特急”に乗れるケースもあり、青春18きっぷ愛好者のなかで話題を集めている。この乗り得列車を楽しむ方法を探ってみた。
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■ホンモノの特急列車に乗れる「特例区間」
先日公開した「最新版『青春18きっぷ』の超基本」でも触れたが、「青春18きっぷ」だけで特急列車に乗れる区間が、全国には4カ所存在する。
このうち、石勝(せきしょう)線の新夕張~新得間では普通列車の運行がなく、同区間の乗車に限り乗車券のみで、特急列車の普通車自由席を利用できる特例が設けられている。ただし、特急列車の乗車は同区間内で完結させることが条件で、特例区間外から連続乗車はできないので注意が必要だ。
例えば、「青春18きっぷ」の旅などで、札幌~新夕張間と新得~帯広間の自由席特急券と乗車券をそれぞれ購入して特急「スーパーおおぞら1号」に乗車、札幌から帯広まで乗ったとする。こうしたケースでは特例は生かせず、乗車全区間の特急券(この場合は自由席特急券)と乗車券が必要。新夕張駅と新得駅で一旦車外に降りたとしても特例は認められず、全区間を乗り通したのと同じ扱いとなる。
奥羽本線も同様のルールで、特例を生かすならば新青森~青森間のみで特急利用を完結させることになるが、気分転換に「ちょい乗り」をしてみてもいいかもしれない。
一方、JR九州の2路線(宮崎空港線と佐世保線)では、やや緩やかなルールが適用されており、特例区間と特例区間外を継続乗車する場合でも、特例を生かすことができる。例えば、「青春18きっぷ」の旅で特急「にちりん」に乗車、境界駅の宮崎を越えて宮崎空港~延岡間を乗り通した場合、特急券と乗車券は特例区間外となる宮崎~延岡間の乗車券を別途購入すればいい。JR九州の2区間では787系電車や783系電車(宮崎空港線)の運用もあるので、行程のプランニングの際にチェックしてみてはいかがだろう。
このように、ルール上でやや注意が必要な点はあるものの、特例区間内に限れば特急列車の旅も楽しめるのが、「青春18きっぷ」の面白さといえるのではないだろうか。