

次に写真を見ながら、製図用のシャープペンシルでメモ帳に下絵を描く。下絵が5枚ほどできるとiPadで撮影し、プロクリエイトというソフトで彩色。下絵をデジタル処理すると線が粗くなるが、「それも味のうち」。デジタルペンで描くことも試みたが、似顔絵は線の1本で似ている・似ていないが決まってしまうため、使い慣れた道具と手順がいいそうだ。

似顔絵は描くからには「とにかく似せたい」。女性モデルであろうと、ほうれい線も遠慮なく描き込む。
完成した作品は一晩寝かせ、翌朝に見ても似ていると思えば、投稿する。柴田さんの本業はプラスチックメーカーの社員。仕事で製品カタログを作製するため、自分の似顔絵が「掲載レベルに到達しているかどうか」を客観視できているのかもしれない。
「小さい頃から絵を描くのが好きで、似顔絵は誰かに見てもらいたい、笑ってもらいたい、という一心で描き続けてきました。大賞作家になっても今までと変わらず、描き続けていきます」
(取材・文/三浦香代子)
※週刊朝日 2022年12月30日号