(3)仕事の前に行う「フィードフォワード」
仕事をした後に自己評価をしながら過去を振り返る「フィードバック」を行っている人は多い。一方、「フィードフォワード」を取り入れている人は少ないだろう。フィードフォワードとは、仕事を始める前に「これを解決するためにはどうしたらいいか?」と人に尋ねることを指す。先に必要な情報を仕入れてから動くと、仕事がうまくいく確率が上がる。聞かれた側も頼られていると感じて、喜んでアドバイスをしてくれるだろう。
仕事を依頼されたらすぐに、「何のためにそれを知りたいのか?」「何をこの報告で伝えなければならないのか?」などと、一言聞いておく。一方、上司も「自分で考えろ」で終わらせずに、「こうやってみたら、もっとよくなるのではないか」と、具体的な行動に落とし込んで伝えるとよい。そうすれば断然仕事のムダを減らせる。
●グーグルの疲れない働き方
(1)パソコンを閉じる時間を意図的につくる
グーグルでは同時進行で複数の仕事をこなすのが当たり前だ。しかし、それを続けると集中できなくなり、かえって作業が遅くなる。そのため、脳を落ち着かせて、自分自身の振り返りをするために、「マインドフルネス瞑想」を取り入れている。ビデオ会議の前にパソコンを閉じ、静かに自分の呼吸に意識を向け、1分ほど瞑想する。これだけで、みんながその場の議題に集中しようという雰囲気が生まれる。
グーグルでは、瞑想以外でも各自が「何もしない」時間を意図的につくり、リフレッシュしている。自分のコンディションを整えるのも、自己責任だと考えられているのだ。
(2)感情の起伏に対処する
著者が心がけているのは、感情を殺すのではなく、ニュートラルな状態に戻れるようにする「中庸」である。感情が揺れ動くのを抑えるのは難しいし、そもそも人が感情的にならないはずはない。
自分の感情の動きをいち早く察知して、その感情を緩め、建設的な心の状態に戻すというのは、練習によって実現できる。まず、イラっとしたときに姿勢を整え、頭を少し上げて、できるだけ遠くまで見るようにする。そのままアゴを少し落とし、舌の力を抜き、顔とアゴの筋肉を緩め、深呼吸をする。すると不思議なことに気持ちが落ち着き、ニュートラルな状態に戻れる。