アグネスさんの新著「70歳、ひなげしはなぜ枯れない 心も体もしなやかでいるための45のヒント
アグネスさんの新著「70歳、ひなげしはなぜ枯れない 心も体もしなやかでいるための45のヒント

「やっちゃった方がいいんです」

 やるか、やらないか。だったら―やっちゃった方がいいんです。
 例えば、新しい言葉を覚えたいと思ったとします。英語でも韓国語でも、完璧に話せるようになるのは、もう難しいかもしれない。

 でも、「旅行で買い物ができるくらいの会話」を目指すのなら、できる気がしませんか?発音が多少悪くてもいい。まずは1カ月やってみる。講座を1本終えてみる。「ここまでやった」と区切りをつけて、小さく完了させていくことで、自分に達成感が生まれます。

 絵を描きたい、ピアノを習いたい、旅に出たい―。何でもそうです。「いつかやろう」「余裕ができたら」と思っているうちに、タイミングはあっという間に過ぎていく。

 もし、「いつかゆっくり旅に出たい」と思いながら、なかなか実行できないのであれば、まずは近くの温泉に一泊するだけでも、日帰りのバス旅行に参加するだけでも十分だと思います。

 まずは思い切って実行してみましょう。
「行きたい」という心の声を自分でちゃんと叶えてあげられると、自信がつきます。

新しい自分の始まり

 すべてが完璧に整ってからじゃなくていい。少しでも動いてみること、実際に小さくても「完了すること」に意味があるのです。

 カラオケが好き。でも「うまくなってからじゃないと恥ずかしい」と思っていたら、ずっと歌えないままです。

 一曲だけでも覚えて、一度歌えば、それが「新しい自分」の始まり。歌わないままだったら、昔の自分。でも歌ったら、今日から新しい自分です。

 ある友人は、「結婚式の写真を撮らなかったことが心残り」とよく話していました。私は言いました。「今からでも、撮ってみたら?」と。

 ホテルの写真館で本格的に撮るのが面倒なら、レンタルのドレスにスマホ撮影だって十分じゃないですか。「ちゃんとやること」を考える前に、まずは「やってみて完了させる」。

 心を柔らかくしていれば、意外と楽に一歩は踏み出せます。

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