普段の外出は、こんなカジュアルスタイルが多め。ときには出かけるのが少しおっくうな日もありますが、「小さく完了」を積み重ねながら、毎日を進めています。(photo本人提供)
普段の外出は、こんなカジュアルスタイルが多め。ときには出かけるのが少しおっくうな日もありますが、「小さく完了」を積み重ねながら、毎日を進めています。(photo本人提供)
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 17歳のときに日本で歌手デビュー、その後の大学進学、3人の息子たちのスタンフォード大進学。常に時代の先頭を懸命に走ってきたアグネス・チャンさんは今夏、70歳を迎えました。「『完璧』ではなく『完了』を目指して、小さな一歩を踏み出すことが何より大切」だというアグネスさん。いくつもの想いが綴られた新著『ひなげしはなぜ枯れない 心も体もしなやかでいるための45のヒント』から一部抜粋・編集してお届けします。

【写真】アグネス・チャンさんとスタンフォード大に進学した3人の息子たちんが語る“しなやかに生きる”小さな一歩のすすめ

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 私がこの年齢になって、はっきり思うようになったことがあります。
 それは、「ちゃんとやろう」「完璧にやろう」なんて思う必要なんて、まったくない、ということです。

 若い頃の私は、「もっと上手にできるようになってから」「万全な準備が整ってから」と、つい自分にブレーキをかけてしまうことがよくありました。

スタンフォード大に進学した3人の息子とアグネスさん/アグネス・チャン/1955年、香港生まれ。72年に日本で歌手デビュー。上智大学を経て、トロント大学卒業。スタンフォード大学に留学し、教育学博士(Ph.D)を取得 photo 本人提供
スタンフォード大に進学した3人の息子とアグネスさん/アグネス・チャン/1955年、香港生まれ。72年に日本で歌手デビュー。上智大学を経て、トロント大学卒業。スタンフォード大学に留学し、教育学博士(Ph.D)を取得 photo 本人提供

「まずはやってみよう」と思うこと

 でも今の私は、「まずはやってみよう」「小さくてもいいから、とりあえず形にしてみよう」と思うようになりました。
 なぜなら―時間には限りがあるからです。完璧を目指しているうちに、日々はどんどん過ぎていく。

 そもそも完璧になってしまったら、もう次がなくなってしまう。だったら、まずは「小さな完了」を目指してみる。そしてそこから、「完璧」を目指さず、「完了」を目指す。

 少しずつ良くしていけばいい。それで十分だと思っています。そのためには悩んでいないでまずは一歩を踏み出してみる。

 これは若い人たちにも伝えたいことですが、私たちの年代では、なおさら大切なことかもしれません。

 若い人たちには「悩んでいる時間」がある。でも、私たちには、悩んで止まっている時間は、もうあまり残されていない。

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