小学校の夏休み期間中に、朝から子どもを受け入れる学童保育所(放課後児童クラブ、以下「学童」)ではこの時期、とりわけ熱中症対策に万全を期しています。どのような対策を講じているのでしょうか。学童保育の運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で、学童事情に詳しい萩原和也さんに解説してもらいました。
【図】子どもの熱中症、症状のチェックリストはこちら「熱中症」子どものリスクは大人より高い
熱中症は重篤となると、内臓など臓器に重大なダメージを与える恐ろしい症状です。そして子どもは大人に比べて熱中症になりやすい傾向があります。
こども家庭庁はホームページ(HP)で「こどもは大人より暑さに弱い」、「こどもは周囲の環境の影響を受けやすく、熱しやすく冷めやすい」、「こども自身では予防できない」と、子どもの熱中症について説明しています。子どもは大人と比べて体温調節が未発達であり、外気温の影響を受けやすいことなどから、熱中症のリスクが高いのです。
さらに「屋外でずっと遊んでいると、その楽しさに夢中になってしまい、身体に異変が起きていても気づかないことがあります」とも。子どもが遊んで過ごす時間が長い学童では子どもの熱中症に十分な注意が必要です。
では学童では具体的にどのように熱中症対応を行っているのでしょうか。これについても、こども家庭庁は7月2日に、学童保育を担当する全国の自治体担当部局にあてて「放課後児童クラブにおける夏季休暇中の安全管理の徹底について」という通知を出しています。「暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラート等の関連情報を収集し、こどものみならず、放課後児童支援員等職員の安全確保にも努めるようにしてください」と注意を促しています。
学童での熱中症対策とは?
空調による室温の管理の徹底が最優先ですが、この「当たり前」が、実は学童の世界ではなかなかそうではなかったのです。十数年前は全国のたいていの学童で「夏はとても暑い!」という評判でした。
次のページへ熱中症発生予防に必要な情報を共有