
阿鼻叫喚、ともいうような悲鳴が上がった。
バンコク最大級の映画館のひとつ、SFワールドシネマセントラルワールド。Snow Manの向井康二演じるパーフェクトなボス・ジュンジが、タイの人気俳優マーチ=チュターウット・パッタラガムポン演じる入社したてのプログラマー・ヒルに“壁ドン”をして顔を寄せる姿がスクリーンに流れると、会場は興奮と混乱の渦に巻き込まれた。
向井が日本人として初めてタイのテレビで主演を務めるドラマ「Dating Game ~口説いてもいいですか、ボス⁉~」の、完成報告イベント「Heart Opening Day」がバンコクで行われたのは、6月17日のこと。
そのステージ上で、できあがったばかりという予告編を、キャストたちも観客と一緒に初めて見ることに。スクリーンへの映写のため会場は真っ暗になっていたが、キャスト用に用意されたモニターから漏れるわずかな光が、彼らの表情をかすかに浮かび上がらせる。向井とマーチは、照れたように笑ったり、ちらっと顔を見合わせて何事かをささやきあったり、互いの膝に手を置いたりしながら、会場にたびたびあがる悲鳴をBGMに、感慨深げに映像に見入った。
予告編が終わり、感想を求められた向井は、「鳥肌立っちゃった」とタイ語で一言。
「何も言えない」と続けたマーチは、「みんなが頑張った結果が目の前にあって、感動しています。みなさんの声援がうれしかった」と言うと、目をうるませた。
すると向井がさっと立ち上がってジャケットの裾でその顔を会場から隠してみせたが、マーチの涙腺はかえって崩壊。向井がステージを降りてティッシュを取って渡す。マーチをあやすように肩を抱き、場を和ませた向井だが、自身の瞳もいまにもこぼれそうな涙に光っていた。