
「自民党がロートルばかりなので、若くて政治に関心がある人が維新に流れる傾向は今後出てくるでしょう。今回の結果がその端緒になるかもしれない。自民党から出ても重鎮ばかりで活躍の場がないから、最初から維新で活躍の場を求める人が増えても何ら不思議はありません」
■次の衆院選では「ジャンプ」狙う
維新は昨年の参院選を「ホップ」、今回の統一地方選を「ステップ」と位置付ける。
「ホップ」の参院選では改選前から倍増となる12議席を獲得。比例代表では立憲を約100万票上回る約780万票を獲得した。
「ステップ」にあたる今回、23日投開票の統一地方選後半戦の結果も合わせて地方議員数を600人以上にできなければ、馬場代表は代表を辞任し藤田文武幹事長に交代すると公言している。
「ジャンプ」が次期衆院選。ここで、立憲民主党の議席を上回り野党第1党となる絵図を描く。
維新が衆院選で「全国政党化」の象徴的な選挙区として狙いを定めていると噂されるのが、今回の県議選で6議席と躍進した神奈川の自民の大物・甘利明前幹事長だ。
甘利氏は前回衆院選、比例復活で何とか当選。次期衆院選では区割り変更により、なじみがあまりない「新20区」からの出馬が決まっている。維新は今回の県議選で新20区に含まれる「相模原市南区」(定数3)を重点区に指定し、新人が3位当選を果たした。前出の自民党関係者は、
「次の衆院選で生きのいい若手をぶつけると、甘利氏はひとたまりもないのではないか」
と、強い警戒心を示す。思惑どおり「ジャンプ」を決めて自民党と対峙する2大政党に大化けするのか、あるいは元から政策が近い自民と連立を組むなど「補完勢力」の一つに甘んじるのか。維新の動向は難解な連立方程式になりそうだ。
「全国政党、野党第1党になるには、勢いだけでは難しい。馬場代表は何をやりたい人なのか。とっぽい感じの刺激的な政党でいたいのか、単独で政権交代を目指す王道的野党を目指すのか、まだ見えない。一挙に国民が冷めるかどうかの境目にきている。ここからが正念場だ」(政界関係者)
(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2023年4月28日号