都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、自身の長男(中学2年生)が中学入試に挑んだときのことを振り返ります。父として、塾長として、抱いた思いとは――。
【中学受験体験記マンガ】「全落ち」した子はかわいそう? 大人の“勝手な思い込み”に気づかされた、子ども同士の会話(全35枚)中学受験をしたのは「親の意志」だった
――茂山先生は自身のお子さんの受験も経験されています。そもそも受験をするか否か、どのように決められたのですか。
中学受験に限った話ではないのですが、我が家では子どもが何か習いごとを始める際、「親がやらせてみたい」と思うかどうかが大きく作用していた気がします。
「学生時代、ラグビーをやっていて良かったと思うから習わせてみよう」「バイオリンをやらせてみたい」といったように、子どもに「どう、やってみる?」と聞くよりも先に、自分がやらせてみたいかどうかを優先させてきたことが多かったように思います。必ずしも良いことではないのかもしれませんが……。その代わり、すべてにおいて僕も一緒におこなってきました。息子がバイオリンを始めるタイミングで、僕も一から習い始めました。息子がラグビーを始めたときは、そこでコーチを募集していたこともあり、僕も教えることにしました。
中学受験も同じで、僕自身が「“受験生の親”を経験してみたい」という気持ちが強かった。子どもに希望を聞くよりも先に「中学受験はするから」というスタンスでいました。僕も中学受験経験者で、夫婦ともに長年塾講師として働いている、という環境もありますが、最後まで「親の意志での受験」と僕は捉えていました。
――息子さんは、どんな様子で受験に向かっていましたか。
「もうやめたい」と言われていたら僕もやめることを考えたと思いますが、塾での勉強を楽しんでいたように見えましたし、卒業後も同級生たちと頻繁に会っているので、それなりに充実した日々を送っていたのではないかと思います。
受験生でも「日曜は必ず家族で出かける」がルール
親の意志で始めたことではあるので、我が家では小学6年の前半までは「日曜は必ず家族で出かける」と決めていました。本人の意志でスタートしたわけではない、だからこそ受験にすべてを捧げることはしない。年齢が上がるにつれ勉強が忙しくなっても、6年の途中までは「長期の休みは家族で旅行に出かける」という方針を貫いてきました。
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