一度、白紙の状態で議論すべき
しかし、登録解除の理由が、政府を信頼できないということである場合、その人の反政府的な思想を炙り出すことになり得るので、これは、思想信条の自由を侵害するとみることもできる。その意味で、実はこんなところにも憲法違反の疑いが出てくるということになる。
私もそうだったが、このような問題に気づいている人は、非常に少ないように思う。
日本弁護士連合会などの意見書でもこういう観点での違憲論は見当たらない。
政府は、今後、健康保険、年金、運転免許証などの制度をマイナンバーとリンクさせて管理運用したいと考えている。
また、立憲民主党が主張している給付付き税額控除の導入に当たっても、国民一人一人の資産・負債・収入を正確に把握する必要があり、そのためには、何らかの形で個人番号による管理を行うことは避けて通れない問題だ。
不人気なマイナンバーの利用については、野党も及び腰になる可能性があるが、国民のためになる政策に必要だということを勇気を出して主張し、国民の不安の声には一つ一つ丁寧に答えてこれを解消していかなければならない。カードにするかスマホにするかなどの選択肢についても白紙の状態で議論すべきだろう。
政治家は、与野党を問わず、国民に対して正面から問いかけ、早急に給付付き税額控除などの導入のためにマイナンバー活用と各種制度のリンク付けについて、法律で明確に定めるべきだ。少し時間がかかるかもしれないが、マイナ保険証での経験に照らせば、拙速に進めればかえってその普及を遅らせることにつながる。
「急がば回れ」という言葉の通り、ここは一度立ち止まり、国民の理解を得て一から出直すことが必要ではないだろうか。