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「トットてれび」(NHK総合)で、満島ひかり演じる黒柳徹子とテレビがキラキラ輝いていた時代を見せられたものだから、“黒柳徹子”“テレビ伝説60年史”という言葉についうっかり釣られて見たら、これがもうビックリ! ただでさえ、小さい目がゴマ粒大になるほどの驚きだった。

 よくよく考えれば、テレビ60年の壮大な歴史をわずか3時間でまとめるなど、しょせん無理な話だ。とは思いつつも、“徹子の歴史を紐解けばテレビの歴史がわかる”などと言われりゃ、そうかもしれないなあと思ったこちらがいけなかった……。

 冒頭で清水ミチコによる徹子の再現ドラマが始まった時、イヤな予感はした。清水ミチコの徹子のものまねは巧い。が、それをここに持ってきたのはいかがなものか。しかも、そのエピソードがほぼ「トットてれび」で使われたものばかりで、新たな発見も驚きもなく、こちらにしてみれば、満島ひかりで記憶していた徹子のエピソードが、全部、清水ミチコに変換されてしまうという災難。

 スペシャルゲストの水谷豊と杉良太郎はまだしも、ひな壇の高橋……藤田ニコルって、テレビ60年史がこのメンツってしょぼすぎやしませんか。こんな有象無象を並べるくらいなら、野際陽子と樹木希林だけでよかったのに。

 その樹木希林のサプライズで内田裕也が登場。テレビ史上初の2ショットだなんだと騒ぐことが、果たしてテレビ史なのか。それってワイドショーの話なのでは? 「徹子がアラン・ドロンに口説かれた」とか「徹子とジャニーさんに結婚話があった」とか、芸能史とテレビ史を完全に取り違えている。

 「1980年代アイドル」コーナーに、「ポッキー」や「グリコアーモンドチョコレート」「ポカリスエット」の歴代CMを見せたのも謎。ほかの年代や企業がないってどーゆーこと? 意味不明過ぎる。それならば、大橋巨泉の「はっぱふみふみ」や、永六輔の「せきこえのどに」のような懐かしCMをたっぷり見せてくれたほうがまだましだ。

 生放送時代のテレビの話など、こちらが見たい聞きたい話題はほんの少し。あとはいろんな話題を寄せ集めた闇鍋のような番組。〆に近藤真彦が出てきて、徹子に引導を渡すのは自分だ、としっかりアピールするのもお約束。テレビは60年かけてこんな伝説しかないの?と思われたらどうしてくれよう。責任者出てこい!ということで、今月のダラクシー賞を贈呈する。G

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