梅雨明け前後は、暑さと湿気のダブルパンチで、体力も落ちやすい時期。
とくに湿度の高いときに注意したいのが、室内での熱中症です。
ここ数年、室内や夜間の熱中症で救急搬送される人が増えているのです。
温度確認・管理や、水分をしっかり摂るなど、きちんと予防対策をとらないと、誰もが熱中症になる危険があります。
梅雨明け後から急増し、なかでも高齢者の割合が高い熱中症による救急搬送者。
「自分は大丈夫」と過信せず、体調をよく見ながら、夏を元気に乗り切りたいですね。

室温は28℃を超えないように設定を。喉が渇かなくても水分補給はこまめに
室温は28℃を超えないように設定を。喉が渇かなくても水分補給はこまめに
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湿度が高いと汗が蒸発せずに、体温調整が難しくなる

総務省消防庁は、7月4日から10日までの1週間で、4659人が熱中症で救急搬送されたと発表しました。これは昨年同時期の4倍近くになります。
じつは、7月上旬から中旬は熱中症が多い時期。
熱中症というと、気温のみに気を取られがちですが、湿度が高いときも注意が必要なのです。
とくに梅雨で湿度が高いうえ急に暑くなったときや、真夏日が続くときなどは、熱中症になる方が一気に増えてしまいます。また、気温が低くても湿度が高いときにも熱中症は発生しています。
こうした多湿の時期に気をつけなければならないのが、空気がこもりやすい室内での熱中症です。
まず、部屋の温度・湿度をチェックしてみてください。意外と湿度が高いと思います。
湿度が高いと、汗が蒸発せずに体に熱がこもり、体温が下がりにくくなる傾向があります。すると体内の水分や塩分のバランスが崩れ、めまいやけいれんなど様々な熱中症の症状が起こってしまうのです。
この季節は、扇風機で風通しをよくしたり、エアコンの除湿で湿度をコントロールすることが大事です。
また、最高気温が30℃を超える日中や、夜間の温度が最低25℃以上になる熱帯夜の時期になると、熱中症の死亡率があがる報告もありますので、これから8月に向けて十分な注意が必要です。
気温、湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境の3つを取り入れた温度指標、WBGT(暑さ指数)が28℃を超えると、一気に熱中症患者が増えることが分かっているので、WBGT値もチェックしていきましょう。
部屋の状態や健康状態にもよりますが、エアコンの温度設定を28℃以下にし、湿度50〜60%にすることが望ましいとされています。

熱中症の症状と対処方法

繰り返しになりますが、これを読んでいる方が過ごす室内が、下記の項目に当てはまらないかチェックしましょう。
●熱中症が起こりやすい環境
■気温が高い、湿度が高い
■風が弱い、日差しが強い
■照り返しが強い
■急に暑くなった(環境省HPより)
上記の環境にあり、次のような症状がでたら熱中症かもしれません。
●熱中症と思われる主な症状
■軽度:めまいや立ちくらみがする。手足の筋肉の痛みがある。大量の汗をかく
■中度:頭痛や吐き気がする。体に力が入らない、ボーとする
■重度:呼びかけに対する反応や会話がおかしい。けいれんしている。きちんと歩けない
※この場合は即座に救急車を呼びましょう。
●熱中症の症状が見られた先の具体的対処法
■とにかく涼しい場所へ移動して、休ませる
■ボタンを開けるなど衣服をゆるめる
■保冷剤など冷たいもので首、脇の下、太ももの付け根を冷やす
■エアコンで冷やす。また扇風機やうちわなどで体を仰いで、体の熱を逃がす
■塩を含んだ水かスポーツドリンクを、飲めるようであれば、少しずつ頻繁に飲ませる
水分を摂れなければ、すぐに医療機関を受診するか救急車を呼びましょう。
今日は暑いな……と感じたら、屋外だけでなく室内でも、熱中症対策を。
ガマンせず、暑いときはエアコンで温度と湿度をコントロールする習慣をつけていきましょう。
また、暑くない日でも常に水分補給を意識することで、未然に熱中症を防いでいきたいですね。