ビジネスパーソンが「無駄な時間」と感じるものの一つに、ダラダラと続く会議が高確率で入ってくる。「この時間があれば、あの仕事を終わらせられたのに」と思いながら、会議に参加したことがある人も多いはずだ。どうすれば、会議をもっとスマートに、簡潔に終わらせることができるのだろうか。その方法を指南してくれる本が、全米25万部を超え、世界16か国以上で刊行の話題作『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』だ。著者は、現在670万の定期購読を誇るデジタルメディア「アクシオス」の共同設立者3人である。本記事では、「スマート・シンプル(賢明な簡潔さ)」という発想をもとに考えられた会議短縮の方法を、本書の内容をもとに紹介する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
4人中3人は良質な会議を行う訓練を受けていない
筆者は会社員だった頃、よく会議の時にこっそりと別の仕事をしていた(内職と呼んでいた)。
立場上参加しなければならないが、特に発言することもない、無駄に感じる会議がいくつかあったからだ。
これは、筆者以外にもしたことがある人はいるはずだ。
実際、本書でも「ビジネスパーソンの90パーセントは会議中にボーッとすることがあり、72パーセントは別の仕事をすることがあるという」と指摘している。
このように、多くの人が「無駄」と思う会議が世界中で行われているわけだが、それはいったいなぜなのだろうか。
本書では、その理由として「4人に3人は良質な会議を行う訓練を受けたことがない」ことを挙げている。
であれば、ぜひとも簡潔かつ効果的な会議の進め方を知りたいものである。
賢い人は「会議の前」にこれをする
「会議の成否は始まる前から決まっている」。これが本書の主張だ。
まずは大前提として、「本当に会議が必要なのか考えよう」と著者は言う。その議題を話すのに本当に複数名の拘束が必要なのか、1on1で話せば終わるものもあるのではないか、と検討するのだ。
そして、いざ会議をするとなったら、必ずメンバーに事前に詳細をメールするよう促す。
確かに、ダラダラしがちな会議は、事前に参加者に意見を考えさせる「宿題」を出さない場合が多い。集まってから意見を促すので、会議が進まない。
会議の前から、会議は始まっているのだ。
会議を効果的に進める7つのコツ
では、会議中はどのように進めるのがベストなのだろうか。
本書では次の7つのポイントが挙げられる。
①制限時間を設ける
通常、会議はうまく行えば20分で十分だ。多くの人は30分以上で設定しがちなので、職場でそんな文化を一新すると、異彩を放つに違いない。ミニ会議(5~10分)も試してみよう。
②「タイトル」から始める
「タイトル」とは、事前のメールに記載した、会議の目的を記載した1文のこと。冒頭で会議の主な目的をはっきり伝える。
③次に、「なぜそれが重要か?」を説明する
誰もが多忙ななか、なぜその会議に時間を割く必要があるのか、理由を知らせる。
④具体的にどのような決定が必要なのか明確に述べる
会議の最後には、「結論」としてこの点に戻る。
⑤集中力と効率を保つため、流れをリードする
ピアプレッシャー(仲間からの圧力)を健全に利用する。誰かが議題から逸れたら、「脱線している!」と言って笑顔でさえぎろう。
⑥全員の参加を促す
寡黙な人にも発言を促そう。誰しも意見を求められるのはうれしいものだ。
⑦残り2分になったら、議論を終わりにする
結論をまとめ、実行に移すべきことを明確にする。「業務時間内にメールで議事録を送る」と伝える。
そして、会議終了後には、記憶が新しいうちに、確認事項を箇条書きにしたメールを出席者に送るのだ。
短時間でも効果的な会議は行える
目的をはっきりさせて、参加者全員がその議題に向けて集中してアイデアを出す。
そういった場づくりをできるようになれば、無駄な会議は格段に減るだろう。
これらの7つのポイントを実践することで、効率的で効果的な会議を実現することが可能だ。
時間は誰にとっても貴重なもの。ぜひ試してみてほしい。