都内のホテル宿泊代金の高騰が続いている。出張経費の見直しや日帰り出張を余儀なくされるケースも。安く泊まれるコツはなのいか。AERA2024年10月14日号より。
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政府が新型コロナの感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した昨年5月以降、ホテルなどの宿泊代金は全国的に上昇傾向にある。中でも目立つのが東京都内のホテルの急騰だ。
「もうびっくりするぐらい高騰しています」
こう話すのは東京都内のホテル業者でつくる東京ホテル会(加盟261軒)の高部彦二代表だ。同会の調査によると、2022年10月の新型コロナの水際措置の緩和以降、平均客室単価もRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)も急上昇している。24年8月の平均客室単価は1万6556円で22年10月(8701円)の2倍近く。南海トラフ地震臨時情報の発表や大型台風接近による宿泊客減の影響で8月の平均客室単価は前月比マイナスとなったものの、コロナ禍前のピークだった1万3000円台を大きく上回る過去最高水準で推移している。最大の要因はインバウンドの復活だ。
「コロナ禍の3年間、海外旅行に行けなかったインバウンド観光客のマグマが一気に噴き出した形です」 (高部さん)
日本政府観光局によると、今年1~6月の訪日外国人客数は1777万7200人で上半期として過去最多。7月の訪日客数も329万2500人で、単月として過去最高を更新した。とりわけ、インバウンドの玄関口となる東京には観光客が集中。円安で海外旅行を控える国内旅行客も相まって都内のホテルはフル稼働状態だ。このため、山手線の内側で1万円以内のホテルを見つけるのは「ほぼ無理」(高部さん)という。
人手不足も要因
ホテル代が軒並み上昇した背景にあるのが、需給変動に応じて弾力的に価格を変える「ダイナミックプライシング」の浸透だ。ホテル業界では、競合他社の価格動向をチェックしながらリアルタイムで価格設定するのが常態化している。
「今は追い風。円安の影響で訪日客の消費額も増える中、みんな強気になっていますから相乗効果で高騰しやすい環境です」(高部さん)