3日後、「報道ステーション」は、政府の統一見解を伝えた後、片山善博元総務大臣が、「大本営発表を垂れ流したことの反省」が盛り込まれた法律だと言及し政府見解を批判。15日にも続報を伝えた。

 しかし、NHKの「ニュース7」や「ニュースウオッチ9」は、2月8、9、12日ともこの問題を報道せず、15日になって「民主党政権でも私と同じような答弁をした」と高市大臣の国会答弁を伝えた。今のNHKの姿勢を感じさせる。また、日本テレビ、フジテレビの夜のニュースは、起きていることを報じただけで背景がわからず、なぜ問題なのかが伝わらない。

●放送法を原点から取り上げたTBS「報道特集」

 インターネットにはさまざまな書き込みがある。その影響もあるだろうが、大学生と話していると、「報道は偏向している」「作為がある」と思っている者もいる。大学生に限らないだろう。テレビ報道への信頼は、制作者側と、かなりの温度差が生じている。

 「放送業界は法に守られ、この厳しい時代になっても、いまだに既得権益にあぐらをかき、良い思いをしている」、それなのに「どこも同じような番組ばかりだ」「生き残りをかけて戦う他の業界では考えられない」との不満が溜まっているだけに尚更だ。

 それだけに、今回のようなことがあっても冷ややかな眼を向け、政府の見解や大臣の答弁は、ごく当たり前のことを言っているとしか受け取らない人もいる。

 報道や番組内容に、なぜ政府が介入してはいけないのか。その危険性を、歴史的背景まで含めて相当詳しく伝えなければ、学校で現代史教育をしっかり行っているとは言えないこの国では、理解してもらうのも難しい。

 この点をある程度意識したと思われる番組があった。3月5日の「報道特集」(TBSテレビ)だ。

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