<こうした動静はめったに報道されることはないが、日常的に過密日程は続いている。その多忙さは皇室いちと言っても過言ではないと思う>

 この状況は令和になっても同じだった。コロナ禍前の19年7月を例にとると、6日にポーランド、フィンランド訪問から帰国、8日には帰国の参拝を賢所で済ませたのちに、赤坂御所で結核予防関連の研修生と懇談、9日に宮邸で2件の説明を受けて、10日から1泊2日で石川県へ。15日は都内でレセプション出席後、悠仁さまと「国際地図学会議」の展示へ。

 これはもう、ショートヘアしかない。髪形は時短が一番。だから、今日までスタイルは不動。そうに違いない。そして紀子さま、意志が強い。24年の間に、髪型を変えたいと思ったときもあったはずだ。だって、女子だもの。だけど変えない。強い意志とは、つまり「仕事ファースト」なのだと思う。写真集で島さんは、こう書いている。

<紀子さまに近い関係者によると、紀子さまは殿下やお子さま方が矢面に立たないよう、あえて周囲に厳しい姿勢で臨み、「嫌われ者」になることもいとわないのだという>

2022年9月、英国へ向けて離陸した天皇、皇后両陛下が搭乗した政府専用機を見送る秋篠宮ご夫妻
2022年9月、英国へ向けて離陸した天皇、皇后両陛下が搭乗した政府専用機を見送る秋篠宮ご夫妻

 紀子さまの「夫、子どもファースト」を表しているとも読めるが、私は「成果ファースト」なのではないかと思う。今どきの表現になるが、皇室が果たすべき役割=成果だろう。それを実現することが一番。だから「嫌われ者」も引き受ける。髪形を変えるという個人的思いは二番以下になる。成果達成には合理的だし、紀子さまにとってはそれが日常なのだ。島さんの文章はこう続いていた。

<紀子さまの奮闘ぶりの心底にあるのは何か。長く交流のある一人は「やはり秋篠宮さまへの愛情でしょう」と明かす>

 愛情とは双方向。9月11日に公表された写真には、秋篠宮さまとお二人で絵本を見る写真があった。そこで秋篠宮さまは、頬杖をついていた。すごく楽しそうで、とてもくつろいでいることが伝わってきた。人が心からくつろげるのは、好きな人の隣だろう。秋篠宮さまの隣で紀子さまも笑っている。紀子さまの横顔に、つややかな髪が映えている。(矢部万紀子

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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