事件は8月6日夜11時ごろ、ソウル市龍山区にあるSUGAさんの自宅付近で起きた。その翌日、ほとんどの報道機関が、SUGAさんが「酒を飲んだあと電動キックボードに乗った」という内容で速報した。

 報道によると、SUGAさんは知人との飲み会のあと、通勤専用の電動キックボードに乗って帰宅中だった。しかし、自宅付近でキックボードの車輪が地面から突き出した部分に引っかかって転倒した。通行人が彼を助けようと近づいてきて「大丈夫ですか」と尋ねたが、酒のにおいがしたので警察に通報したという。

 この報道内容は同日、BTSの事務所「ビッグヒットミュージック(HYBEのレーベル)」の発表とほぼ同じだった。事務所は、SUGAさんが飲酒状態で「電動キックボード」に乗って帰宅し、500メートル移動した後、駐車するときに倒れたと発表した。警察から飲酒検査を受け、罰金と運転免許取り消し処分を受けたが、この事故による傷害や財産被害はなかった、と公表した。

バスケットの試合を観戦するBTSのSUGAさん(中央)=2022年9月、さいたまアリーナ

キックボードなら行政処分で終わり

 最近の韓国社会は飲酒運転に寛大ではない。有名人の飲酒運転事故に対しては、自粛どころか「永遠にテレビで見たくない」というレベルにまで発展する。

 SUGAさんや事務所はそのあたりを認識していた。自動車やバイクなどによる飲酒運転なら、事故を起こさなくても刑事処罰を受けるが、自転車や電動キックボードならば、特別な事故を起こさなければ行政処分で終わる。

 SUGAさんも即座に謝罪文を発表した。その内容は、「昨日(8月6日)食事中に酒を飲んだあと、電動キックボードに乗って帰宅しました。飲酒状態で電動キックボードを利用できないということを知らずに法規を違反しました」というものだった。

 この時点での市民の反応は「単なるショック」にすぎず、「電動キックボードでも飲酒運転は誤ったことなので自粛せよ」というレベルだった。SUGAさんは現在、兵役代替服務の状態で軍人の身分だが、勤務外時間だったので懲戒対象にもならなかった。

 ところがその後、状況は一変する。

 SUGAさんを立件した龍山警察署は、彼が乗っていたのが電動キックボードではなく、「電動スクーターだった」と公表したからだ。

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「電動キックボードに乗って」は虚偽の可能性?