トヨタ自動車が8月1日に発表した今年4~6月期の連結決算は、売上高も利益もこの期間としては過去最高だった。しかし、同日の株価は大きく値下がりした。不安材料の一つが、これまで業績を押し上げてきた為替だ。円安の追い風が弱まる時、より問われるようになるものとは何か。
* * *
トヨタの24年4~6月期の売上高は前年同期比約12%増の11兆8378億円、本業の儲けを示す営業利益は同約17%増の1兆3084億円、純利益は同約2%増の1兆3333億円だった。いずれもこの期間としては過去最高だ。
国の認証取得の不正問題などを受けて国内の生産・販売台数は減ったものの、海外でのハイブリッド車の販売好調や、円安による利益押し上げ効果などで補った。
円安で営業利益は3700億円、押し上げられたという。
好調といっていい内容だが、決算発表日のトヨタ株の終値は前日比250円(8.48%)安の2699円と、大きく値下がりした。
なぜか。
東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは次のように話す。
「売上高や利益が過去最高とはいっても、相場全体の下落に逆らえるほどの内容ではなかったということです。サプライズとなるような好材料や、相場の流れを押し返せるほどのパワーはありませんでした」
1日の日経平均株価の終値は前の日に比べて975円49銭(2.49%安)安の3万8126円33銭。外国為替市場で一時1ドル=148円台半ばまで円高・ドル安が進み、円高が業績の重荷となる自動車株は売られた。
前日の7月31日には日本銀行が追加の利上げを決め、植田和男総裁が記者会見で金利をさらに引き上げる可能性に言及した。一方、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、「9月の利下げ開始もありうる」と述べた。
日本と米国の金利差は縮小するとの見方が一段と強まり、円を買う動きが加速した。また31日にはトヨタの認証不正に対し、国土交通省が道路運送車両法に基づく「是正命令」を出した。