わかりやすい経済解説で知られる人気ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが6月8日18時から情報番組「薬丸マネー塾」(BS TBS)に出演する。そこで、過去にAERA dot.に掲載した鈴木さんの“マネー術”を再配信する。(情報は2023年1月27日時点のものです)
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パートタイマーとして働く場合、「いくらぐらい稼ぐか」に悩む人は少なくない。年収が、俗に「壁」と呼ばれる103万円、106万円、130万円を超えると、配偶者の扶養から外れたり、自分で社会保険料や税金を納めなければならなかったりするからだ。
しかし、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんは、「この壁を気にしたほうがいい人と、気にしなくてもいい人がいます」と話す。鈴木さんの近著『資産形成の超正解100』から、3つの壁がパートタイマーの手取りに与える実際の影響をひもときたい。
3つの金額を「壁」と呼ぶのは、それぞれの金額を超えると、以前より多く働いても世帯の手取り年収が減ってしまうことがあり、もっと働こうという意欲が持てなくなる人がいるからだ。
「税法上の扶養」が左右する「103万円の壁」
まず、最も気にする人が多い「103万円の壁」から。
扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、「103万円」という区切りに影響しているのは「税法上の扶養」。年収が103万円を上回ると、所得控除のひとつである配偶者控除を受けられなくなり、扶養者の所得税と住民税が上がってしまうと思っている人が多いようだ。
実際には、103万円を上回っても税金面での影響は大きくない。103 万円を上回ると配偶者控除の代わりに配偶者特別控除を受けられるようになり、配偶者の年収が150万円に達するまでは扶養者の手取りは変わらないからだ。150万円を超えると少しずつ配偶者特別控除の金額が減っていき、201万円を超えると全く受けられなくなる。
扶養者の合計所得金額が1000万円を超えている場合は、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられないため、103万円の壁は関係ない。
そもそも、配偶者控除を受けている人の中で「103万円の壁」を気にしたほうがいいのは、扶養者が毎月勤務先から「配偶者手当」などの家族手当をもらっているという人。人事院「令和3年職種別民間給与実態調査」によると、何らかの家族手当を導入している企業の割合は74.1%。導入している会社のうち約45%が配偶者の年収が103万円まで、約37%が130万円まで、約7%が150万円までとしており、103万円を超えると家族手当がもらえなくなる人は多いようだ。