「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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年度の方針や施策を本部と加盟店で確認しあう「ローソンセミナー」。毎年開催しているのですが、今年2024年度は4年ぶりに全国7エリアで、リアルで開催しました。
南の九州から始まり、中四国、近畿、中部、関東、東北、北海道の7エリア。私からの年度方針の発表は事前にオンラインで全オーナーさんにライブ配信し、その後、会場にリアルで集まっていただく形で行いました。
とにかく明るく、元気な加盟店の皆さんの姿を見て、本当に安心したな──。それが率直な気持ちです。昨年、オーナーさんやそのご家族約1500人ほどをハワイに招待したツアーでも同じ感想を抱いたのですが、それは「仕事」を離れて楽しむツアー。今回は今年新しく導入する発注システムや力を入れていくデリバリー、新商品開発など、商売を前提に話す集まりです。それでもこれほど明るく前向きにコミュニケーションできるということに、大きな希望を感じました。
「これが新しいシステムですか、すごい。楽しみです」「デリバリーってそんな可能性があるんですね。絶対にがんばります!」など、皆の発言がすべてポジティブでした。
オーナーの皆さんは一人で店舗経営をされる日々の中、不安に思われたり、孤独になられる時もあると思うんです。振り返ればコロナも大変だったし、KDDIさんのTOBの件も、「上場廃止」などといった言葉を聞くと心配にもなるでしょう。でも、「竹増さんとこうやってお会いしてお話しすると、リアルテックコンビニエンスに大きく変わっていくんだなという希望と期待を持てるようになりました」など、皆さんから心強い発言が相次ぎました。
年に1回でも、こうやって皆でリアルで集まり、笑顔で未来の希望を語り合うこと。その大切さをあらためて実感したセミナーでした。
◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2024年4月22日号