だから、時々思う。
「思いっきり、切ない恋がしたい」
「思いっきり、泣いてみたい」
でも、一方で、
「今さら、そんな恋をしている場合じゃないよなあ」
「思いっきり泣くほどの不幸は嫌だよなあ」
という声がささやく。
だから、真剣に恋して悩んで泣けるメンバーを「うらやましいな」と、思うことがある。
それでも、心のどこかで、
「感動して涙を流さない自分になりたくない」
と、ひとりでこっそり思いっきり泣けそうな本を読んでみたり、DVDを見たりしているわたしがいる。
そして、泣いた後は、やっぱりスッキリしている自分がいたりする。
先日、雑誌社の友達と話していて、「泣く」という話題になった。
「ぜったい泣ける本」や「胸がキュンとするする瞬間」などの特集が、中高年に好評らしい。
なんかわかる気がした。
泣いたり、キュンとすると若返っていく気分になれる。
そして、今、わたしがはまっているのが、漫画。
おとなになって、しばらく遠ざかっていたけれど、かつて読んだ漫画、やっぱり泣ける。
胸もキュンとする。
「わたしだけかなあ」
と、思っていたら、「マーガレット展」などは、中高年のお客さんも多く、そこに来た人は、昔読んだ漫画を大人買いするらしい。
昔読んだ漫画を再び読み直して、かつての気持ちを取り戻す。
わたしだじゃなかった。
泣くだけ泣くと、若返った気になる。そして、なんだかわからないけれど、
「わたし、まだこんな気持ちになれるんだ」
「こんな感情が残っていたんだ」
と、嬉しくなってくる。