東京大学の安田講堂
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 ひと昔前までは、東大をはじめとする難関国立大に推薦で行くことは考えられないことであった。ところが、東北大、筑波大、九州大が2000年度入試で初めて「AO入試」とも呼ばれる総合型選抜を開始したことが大きな始まりとなった。

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 その後、16年に東大が後期日程入試を廃止し、代わりに推薦入試を開始したことで、推薦で難関国公立に行く選択肢が定着したとも言える。昨年まで大学合格ランキングを掲載していた「週刊朝日」でも、推薦合格者の特集を組み始めたのもこの頃からだ。

「女子学生の確保」が課題

 東大が推薦入試を導入した大きな理由は「学生の多様性の確保」だ。なかでも具体的な目的が2つある。

 一つは女子学生の確保だ。東大はかねてより女子学生率の低さが問題となっており、推薦入試が始まる前年の15年度入試の合格者のうち、女子比率は17.8%だった。それが23年度入試では22.3%まで達し、4.5ポイントも伸びている。この中でも推薦入試合格者だけに絞ると、23年度入試の女子率は39.8%。そして最新の24年度入試では女子率が46.2%に達し、過去最高となった。

 もう一つの大きな目的が、首都圏以外の地方出身の学生数を確保する狙いだ。かつては全国各都道府県の秀才がこぞって東大に進学していたが、それは今や昔。失われた30年間で上京させる教育費がない家庭が増えたことや、地元志向の高まり、そして医学部以外の東大に行っても必ずしも将来が約束されなくなってきた時代の変化などにより、東大に入れる学力を持っていても地元の国公立医学部に進学してしまう層が増えたためだ。

 地方からでも優秀な生徒を集めるべく、一般入試に求められる学力偏重ではなく、一芸に秀でた研究などができる人材を確保したい狙いがある。推薦入試では1校が東大に推薦できる人数を男女共学の場合4人までと定めているため、この制約により一般に入試同様に難関進学校による寡占を防いでいる。

 実際に今年の東大推薦入試合格者を出した高校を見てみよう。

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