グランプリに輝いた街裏ぴんく

 3月9日、ピン芸日本一を決める『R-1グランプリ2024』の決勝が行われた。その模様はカンテレ・フジテレビ系で生放送された。

『R-1』は、漫才の祭典『M-1グランプリ』に比べるとやや地味な印象があるが、大会を盛り上げるために毎年さまざまなアップデートが行われてきた。その結果、今年はいつになくまとまりがあって充実した内容になっていた。

 昨年との大きな違いとしては、決勝の制限時間が3分から4分に伸びたことと、出場資格の芸歴制限が撤廃されたことだ。ネタ時間が長くなったことで、出場者は1本のネタをじっくり見せられるようになり、それぞれの持ち味を出しやすくなった。

 さらに、芸歴制限が撤廃されたことで、出場できなくなっていたベテラン組が参戦できるようになり、全体的なレベルが上がった。2つのルール改正は、いずれも今年の『R-1』を盛り上げることにつながっていた。

 番組の流れもスムーズであり、変に間延びしたりバタバタしたりするようなところもなかった。司会の霜降り明星と広瀬アリスも落ち着いた雰囲気で堂々と番組を進めていた。

 しかも、ファイナリストのネタのクオリティも高かった。もちろん決勝に残るような芸人のネタが面白くないわけはないのだが、ワインに当たり年があるように、お笑いコンテストにも毎年の出来というものがある。今年の『R-1』は間違いなく「大当たり」だった。

注目されていたのは

 ファイナリストの中で注目されていたのは、アマチュア芸人として初めて決勝に進んだどくさいスイッチ企画である。会社勤めをするサラリーマンでありながら、ネタを作って芸人としての活動も続けていた。そんな彼が披露したのは、しっかりした設定の1人コント。たった4分のネタで1人の人間の半生を見事に表現していた。

 今年のダークホースと言われていたのが、トンツカタンお抹茶である。普段はトンツカタンというトリオで活動している彼が、ピン芸で見事に決勝進出を果たした。かりんとうでできた車に乗る男を主人公にした不思議な世界観のコントを披露して、見る者の度肝を抜いた。決勝では最下位に終わったものの、悔しいそぶりもなく爽やかな笑顔を見せていたのが印象的だった。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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