どうやら税・社会保険料を嫌がる側の分は悪そうだ。パート主婦の年収の壁もポイントは税・社会保険料の負担だった。なぜここまで税や社会保険の負担は嫌がられるのか。
財政学者である明治大学の星野泉教授が、
「1980年代の租税政策の影響でしょう。消費税を導入したいがために、この時期、所得税や相続税など庶民向けにずいぶん減税がなされました。それによって庶民の手取り、自由に使えるお金が増え、いつしか手取りを増やすことを第一に考える風潮が生まれたのです。その意識が高じたのが『税・社会保険料嫌い』だと思います」
と言えば、東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は、
「税金の使い方がちゃんとしていないからじゃないですか。政治不信の裏返しなんです。政治不信は世界中にありますが、最近の日本は特にひどいように思えます」
国民の意識か政治の現状か──どちらにせよ、原因は我々の中にある。
(編集部・首藤由之)
※AERA 2024年3月18日号より抜粋