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村上春樹がロシアで発禁に?――。ロシアでLGBT(性的少数派ら)の性描写を含む書物の「禁書リスト」が出回った。その数、252冊。村上を含む国内外の作家205人により書かれたものだ。背景には、プーチン政権の「LGBT弾圧」の方針が見え隠れする。名著をめぐって何が起きたのか。

【一覧表】この作品もダメ?禁書リストの一部はこちら

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 ロシア主要メディア「コメルサント」紙(2月20日)によると、ロシアの通販大手「メガマーケット」が「禁書リスト」の存在を認めた。ロシアの「ネット通販協会」が主導し、著名作家の作品の中から、LGBTに関連しそうなものを選んで、一覧表にしたという。

  米国のスティーブン・キングなどと並び、村上春樹ら日本人4人の5作品がリスト入り。村上作品でリスト入りしたのは、『ノルウェイの森』と『スプートニクの恋人』の2冊だった。他に、吉本ばななの『ハードボイルド / ハードラック』、三島由紀夫の『禁色』。ボーイズ・ラブを描く水名瀬雅良の漫画『empty heart~偽りの恋だから~』も入っている。

 ロシア語の独立系メディア「メドゥーザ」(2月21日)は、「ワイルド、ムラカミ、そしてドストエフスキー」との見出しをつけて報じた。それによると、「禁止された情報(LGBT+)が含まれた商品の一覧」というタイトルがつけられたもので、19世紀を代表するオスカー・ワイルド、フョードル・ドストエフスキー、現代作家では村上春樹などが入っている。独立系のロシア人ジャーナリスト、プルシェフ氏がSNSで存在を明らかにした。

いったいなぜリストは作られたのか

  いったいなぜこのような「禁書リスト」が作られたのか。背景にはロシアで2022年12月に「LGBTプロパガンダ禁止法」が改正されたことあるようだ。禁止されているのは「伝統に反する性的な関係を持つことや、それへの志向、および小児性愛者、性転換を宣伝する情報の流布」。罰金は出版社の場合、80万~500万ルーブル(130万~400万円)だ。

  確かにリスト入りした作品には、この条項にひっかかるかもしれない部分が皆無ではない。例えば、『ノルウェイの森』ではこんなくだりがある。主人公と付き合っていた直子が、知り合いのレイコとの出来事を告白する場面だ。

 ‟「レイコさんに抱いてもらうの」と直子は言った。「レイコさんを起こして、彼女のベッドにもぐりこんで、抱きしめてもらうの。そして泣くのよ。彼女が私の体を撫でてくれるの。体の芯があたたまるまで。こういうのって変?」(講談社文庫「上」290頁)”

  この場面はページ数にして2ページ、全体の1%に満たない。しかも、『ノルウェイの森』は「LGBTが主題」というより、異性愛の描写のほうが頻繁に出てくる。

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