「『99・9―刑事専門弁護士―』というドラマで松本潤くんが演じる弁護士がかっこよくて。弁護士って、こぶしや武器ではなく言葉と法律の知識で闘っていく仕事ですよね。緻密な議論の積み重ねが、世の中をよりよく変えていく。このスケール感にあこがれました。でもアイドルも法学部も、どっちもあきらめる気はなかったです」
2020年春、浮所さんは晴れて立教大学法学部に入学を果たす。しかし世界はコロナ禍に突入し、入学式もおこなわれなかった。
「授業もすべてリモートです。大学4年間でパソコンの使い方は詳しくなりましたけど、キャンパスライフは全然楽しめませんでした。大学に入ってから、新しい友だちは一人もつくれなかったですね」
それはコロナだけが理由ではないと浮所さんは言う。
「大学名を公表していたので、新しい友だちをつくるのは難しいだろうとも思っていました。単純に仕事が忙しくてその時間がなかったってこともありますけどね。だからこそ、高校からの友だちには本当に感謝です。出席できない授業も多かったのですが、友だちが授業のレジュメやテスト範囲を送ってくれて。そのおかげで勉強を進められました」
法律を学ぶことで世の中の仕組みがわかる
あこがれていた法学部。しかし実際に学ぶ法学は難しかった。
「1年生の最初のころに、サイムフリコー(債務不履行)って言葉を聞いて、え? 何?って意味がわからなくて(笑)。そんな感じで、初めて聞く言葉が次々に出てくるんです。高校時代と同じで、重要な言葉や条文には緑のマーカーを引いたり、オレンジ色のペンを使って書き込んだりして、それを赤シートで隠して暗記しています。大変なんですけど、難しい言葉を知ることって、なんかかっこいいですよね。六法全書持って歩くのもかっこいい。それがやる気になりました。単純ですかね? でも法学部に来る人って、多かれ少なかれみんなそう思っているんじゃないですか? 違うかなぁ」
法学部での専門は?と聞くと、「全部です!」と明るく答えてくれた。
「専門ごとのゼミは出席しないと単位がとれないので、あきらめました。ドラマの撮影が入ると授業にはほぼ出られないので。でも、ゼミの分の単位をテストでとらなくちゃいけないので大変なんですよ」