社長の出身ランキング(女性社長)
ランキングの見方:東京商工リサーチの企業データベース約400万社(2022年7月)の代表者データ(個人企業を含む)のうち、公開されている出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高が高い企業を優先して重複企業を集計対象外とした。出身大学が名称変更、統合している場合、現在の大学名で集計した。人数には大学院出身者を含む場合がある。◎2022年

会社を渡り歩く引く手数多の社長ら

 資生堂の話に戻ろう。同社の前社長、魚谷雅彦は生え抜きではない。まったくの外様だ。彼は同志社大を卒業した後、ライオンに入社している。その後、フィリップ・モリス社の食品事業部門であるクラフト・ジャパン(現モンデリーズ・ジャパン)副社長、日本コカ・コーラ社長などをつとめて、13年、資生堂のマーケティング統括顧問に迎えられた。14年には同社社長に就任。そして、社長職を前述の藤原憲太郎に引き継いで、いまは代表取締役会長CEOとなっている。

 経営幹部として中途入社してトップの座に就くということは、社内文化にどっぷりつかった生え抜きのなかにめぼしい人材がいなかった、テコ入れをはかったという見方もできる。

 19年、日産自動車社長に就いた内田誠は同志社大卒業後、日商岩井(現双日)に入社している。03年、日産に移った。

 21年、ロッテホールディングス社長となった玉塚元一は慶應義塾大を卒業後、旭硝子(現AGC)、日本IBMに勤務していた。その後、ファーストリテイリング、ロッテリア、ローソンの経営に関わっている。

 23年、アサヒビール社長に就任した松山一雄は、青山学院大を卒業後、鹿島建設に入社。87年サトー(現サトーホールディングス)を経て、18年にアサヒビール専務取締役となって今日の地位を築いた。

 IT企業トップは転職組が多い。

 Zホールディングスの川邊健太郎は青山学院大在学中に起業しヤフーに中途入社し、同社の社長をつとめていた。グーグル日本法人の奥山真司は、早稲田大出身でP&Gファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)からの転職である。フェイスブック日本法人の味澤将宏は、立命館大卒業後、日本マイクロソフト、ツイッタージャパンなどに勤務していた。

社長の出身ランキング(一部上場企業)
ランキングの見方:東京商工リサーチの企業データベース約400万社(2022年7月)の代表者データ(個人企業を含む)のうち、公開されている出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高が高い企業を優先して重複企業を集計対象外とした。出身大学が名称変更、統合している場合、現在の大学名で集計した。人数には大学院出身者を含む場合がある。◎2022年

大学時代の経験が社長の器の礎に

 最後にもう一度、資生堂について触れておこう。同社会長CEOの魚谷雅彦は同志社大時代をこうふり返る。 「学生時代、海外で学ぶという高いハードルを前に躊躇していた私の背中を押し、留学を決意させてくれたのが新島襄でした。国禁を犯してまで留学に挑戦した姿に自分を重ね、『志』を実現する勇気を与えてくれたのです。在学中にその新島から教わり、刻み付けられた『良心』は常に私の基盤です」(同志社大ウェブサイト「VISION2025」)

 学生時代の経験が企業トップへの道筋を作った。そんな価値ある学生生活を過ごしたいものだ。

(敬称略)

(文・小林哲夫

アエラムック「就職力で選ぶ大学2024」(朝日新聞出版)より

暮らしとモノ班 for promotion
台風、南海トラフ地震、…ライフライン復旧まで備える非常食の売れ筋ランキング