イギリスの80年代インディーズ・アイコンであるザ・スミスの象徴的なギタリスト、ジョニー・マーが、ドナルド・トランプが選挙運動中に同バンドの「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」を使用したことを非難した。
マーとバンドのフロントマン、モリッシーが共作したこの哀愁漂う楽曲は、1984年にリリースされたシングル『ウィリアム、イット・ワズ・リアリー・ナッシング』のB面として収録され、そのあとコンピレーション・アルバム『ハットフル・オブ・ホロウ』と『ラウダー・ザン・ボム』にも収められている。
しかし、マーはこの曲はトランプの選挙運動で決して使われるべきではないと主張している。彼は昨年トランプが米サウス・ダコタ州で開催された集会で撮影された映像に反応し、「ああ……そうか……こういうことか。こんなことが起こるなんて、あり得ないと思ってた。こんなクソみたいなことは、これでもう最後だと思ってくれ」とソーシャル・メディアに書き込んだ。
X(旧ツイッター)の他の投稿者によると、現地時間1月22日に米ニュー・ハンプシャー州ラコニアで行われたイベントを含め、最近トランプの選挙運動でザ・スミスの音楽が観客をウォーミング・アップさせるために何度か使われてきたという。
トランプは政治家としてのキャリアの中で、多くのアーティストと衝突してきた。ザ・ローリング・ストーンズ、フィル・コリンズ、リンキン・パーク、ジョン・フォガティ、ニール・ヤング、R.E.M.、リアーナ、ファレル、ガンズ・アンド・ローゼズ、スティーヴン・タイラー、故レナード・コーエンと故トム・ペティの遺族らを含め、数多くのアーティストがトランプ前大統領のチームに対して、集会や選挙運動で自分たちの作品を無断で使用したことに停止通告書を出した。
ザ・スミスは1984年から1987年の解散まで、『ザ・スミス』(1984年)、『ミート・イズ・マーダー』(1985年)、『ザ・クイーン・イズ・デッド』(1986年)、『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』(1987年)の4枚のアルバムしかリリースしていない。いずれも名作として評価されている。
ジャングリーなギター・スタイルで多くのインディー・アーティストに影響を与えたマーは、それ以来、リーダーとしてジョニー・マー・アンド・ザ・ヒーラーズを率いたり、ニール・フィン、ザ・クリブス、モデスト・マウスとのコラボなど様々なプロジェクトに参加し、多忙な日々を送っている。そして彼は2013年に遅ればせながら初のソロアルバム『ザ・メッセンジャー』をリリースし、今作を含む5作連続でイギリスのオフィシャル・アルバム・チャートのトップ10入りを果たした。