将来的にはカンパニー

――「まずは足を運んでもらえるような取り組みを」。その一つとしてチケット料金も設定したように、ハードルをより低くする試みを支える根底には、ショーに対する「確信」がある。

高橋:幸い、「アイスエクスプロージョン」は評判もよくて、初めてアイスショーを観た方々からは「面白かった」という声をいただきました。でも一方で、実は公演があったこと自体を知らない方が少なくなかったことも聞きました。来ていただけていたら楽しんでいただけたんじゃないか、だから来やすい環境も整えたいという思いがありますし、その前にまずはアイスショーがあることを知ってほしいと思っています。

――誰もが入りやすい「入り口」を整えつつ、充実したアイスショーを、今までの枠にとらわれないショーを、と準備に力を注いでいる。そして「滑走屋」はこれからの展望を開くことになるとも考えている。

高橋:福岡での「滑走屋」が成功すれば、今後、各地で公演を行っていくこともできると思いますし、「滑走屋」というアイスショーのフォーマットを確立できれば、それこそ僕が演者として出なくても、あるいは他のスケーターが演出を担当して行うことだってできると思うんです。将来的にはカンパニー的なものになっていけばいいな、という思いもあります。

 今も魅力的なアイスショーがたくさんありますが、それに加え、アイスショーという名の新しい形の提案をしたいですし、これからの幕開けのアイスショーになるのは間違いないと思うんです。そのスタートを多くの方々に、一緒に観ていただけたらうれしいですね。

――今回のショーでは、4年ぶりに高橋のソロナンバーの披露もあるという。その楽しみも含め、スケートの未来を切り拓くための試みである公演がどのような世界を氷上に描きだすのか。

 その第一歩を見逃すわけにはいかない。(構成/ライター・松原孝臣)

AERA 2023年12月18日号

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