目立ち過ぎて叩かれたり、おとなし過ぎてイジメのターゲットになったり......とかくグループで行動しがちな女子の世界では、学校を卒業後でも、同じ職場の派閥、ママ友グループなど、同性同士で群れて過ごす機会は多く、人間関係のわずらわしさに悩む人も多いのではないでしょうか。



 中学・高校と女子だけの世界で過ごし、『女子高育ち』(筑摩書房刊)などの著作もあるコラムニスト・辛酸なめ子さんは、女性特有のヒエラルキーやマウンティングに翻弄される女子同士の対人関係は、いつの時代も大変で、まさに"内戦"状態だと指摘。本書『女子の国はいつも内戦』の中では、ファッション誌の編集部、CA(キャビンアテンダント)業界、セレブママ、アイドルなど、多種多様な立場の女性に取材し、それぞれの本音を探っています。



 辛酸さんによれば、人間関係の悩みと一番無縁なのが、意外にもCA業界。航空業界という華やかなイメージから、テレビドラマの格好の題材となり、"女の園"に描かれがちなCA業界ですが、壮絶な女の戦いが起きることはめったにないそうです。



 本書に登場する現役CAによれば、業界的にも寿退社が前提で、彼氏がいるのが当たり前なので、同期との話題も、仕事より恋愛が中心。また、同期は一律に出世していくので、対抗心も生まれにくく、ジャンボ機での勤務中は、12~14人の最低限の人数で決められた業務をこなさなければならないので、女同士で愚痴を言い合う時間やイジメに時間を費やす余裕はないのだとか。



 辛酸さんは、「女子の派閥のもめごとが起こってしまうのは、結局ヒマだからかもしれません。キャビンアテンダントのように、恋に仕事に忙しければ、女同士の人間関係には悩まされないのです」(本書より)と述べ、「人間関係に悩まされどうしようもなくなったら、停滞ムード漂う職場を辞めて、もっと楽しくてやりがいのある仕事を見つけるという手もあるかもしれません。人生の時間は有限なので、義務教育でもないのにガマンし続ける必要はありません」と結んでいます。



 思春期以上を対象にした「14歳の世渡り術」シリーズの本書ですが、対人関係に苦労する大人の女性、あるいは女子の生態に興味がある男性が読んでも楽しめること間違いなしの内容となっています。