前山裕亮(まえやま・ゆうすけ)ニッセイ基礎研究所 金融研究部 主任研究員。大和総研、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンなどを経て2014年にニッセイ基礎研究所入社。株式、投資信託を中心に調査、研究を行う(撮影/小山幸佑)

 同じく1992年スタートで、2006年まで15年かけて月10万円のつみたて投資をし、1800万円を埋めた場合の30年後は1億8095万円だ。

1992〜2006年にS&P500が大きく上昇したので、5年投資と15年投資で最終的に1億3749万円もの差がついた。

■日本株30年で元本割れ

 日本株だと様子は変わる。TOPIXは、2022年4月1日まで東証1部、現在は東証の上場企業ほぼすべてが対象(2023年9月13日現在、3821銘柄)。

 1990年初頭、日本株はバブル崩壊となり、戻りが遅かった。

 1981〜1983年の各年に投資をはじめて15年間つみたてを行った場合、そのまま30年目まで持っていても、投資した1800万円は元本割れとなった(30年目に1350万〜1795万円)。

 1985〜1993年につみたてを開始したケースでは、15年つみたてより5年つみたてのほうが30年後の成績が悪かった。バブル期に高値つかみした影響が出た形だ。前山さんの意見は、こう。

「ご自身のリスク許容度の範囲内ですが、『自分が投資する金融商品はTOPIXのようにはならずに、基本的に上がり続ける』と思うなら、5年で1800万円を投資してもかまわないと思います」

 そもそも「損するかも」という思いが強ければ新NISAでは投資しないだろう。前山さんも「大半の人は『上がる』と思っているでしょうけど」と付け加えた。確かに(笑)。

 市場になるべく早く、なるべく大きな金額を、なるべく長く置いたほうがいいというのは本当?

「投資する金融商品の期待収益率がプラスであれば、長く投資するほど収益が増える可能性が高いため、合理的な行動です。

ただし今後のS&P500や全世界株式が、1990年代初頭のバブル崩壊後のTOPIXのように下がり続け、30年間運用しても成績が振るわない可能性もゼロではありません。

今買うと高値つかみになってしまうのか、それとも今後も上昇し続けるのか。その正解がわからないからこそ、つみたて投資が推奨されるのです」

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現在のS&P500は高すぎる?