※写真はイメージ(gettyimages)

 マッチングアプリや婚活サイトを活用して結婚に至るカップルが増えている一方で、婚姻数は減っている。なかなか条件に合う人と出会えず、結婚に至らない人が陥りやすい思考とは。AERA 2023年9月11日号より。

【グラフ】婚活サービスを通じて結婚した人の割合はコチラ

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 婚活サービスを利用して求める条件に合う恋人ができた、結婚した人が年々増えている。

 だが、厚生労働省が8月に発表した人口動態統計(速報)によると、23年1~6月の婚姻数は前年同期比でマイナス7.3%。20年から始まったコロナ禍の影響もあり、急減している。政府は「異次元の少子化対策」を打ち出しているが、既婚女性が出産するケースが大半である日本において、婚姻数の減少は出生率の低下に直結する。国立社会保障・人口問題研究所の21年の調査によると、「いずれ結婚するつもり」と考えている未婚者(18~34歳)は男性81.4%、女性84.3%で8割を超えているのに、なぜ、婚姻数は伸びないのか。結婚問題に詳しい戦略コンサルタントで著書に『普通のダンナがなぜ見つからない?』がある西口敦さんは、

「婚活サービスの普及で、条件ありきの出会いが広がっているが、見た目も年収も学歴も『普通でいい』と考えていても、全て満たす人は1%を切る。本人に高望みしているつもりはなくても、なかなか結婚に至らないケースは多い」

 西口さんが同書を発表したのは、12年前のことだ。

「当時より、パートナーを見つけることが格段に難しくなっていると感じます。共働きが一般化し、経済状況の変化で女性にも学歴と収入が求められるようになり、男性には家事・育児能力が求める条件に加わりました。条件が増えるほどに、相手は見つからなくなる」(西口さん)

 その指摘に苦笑いするのは、都内の会社員女性(44)だ。30代半ばで、マッチングアプリに登録。相手の条件は、年収500万円以上、大卒以上、都内近郊在住で、身長は自分より高い方がいいから170センチ以上。ひとつでも当てはまらない人とは、会ったことはないという。

「私の条件、普通ですよね? むしろ年収は自分より低く設定しているので、間口を広げている方だと思います。私も働いているので、家計も家事も一緒に支え合いたい」(女性)

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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