りりちゃんが言うには「頂き女子」は1カ月以内で大金を引き出す。そのためには、ターゲットを「孤独で生きる意味を見いだせないモテない男」に絞る。そういう人をどう見分けるのか分からないが、現代社会で孤独を感じない人はいないだろうし、生きる強い意味を見いだしている人のほうが少ないかもしれず、モテる男なんて一部だ。そういう意味でりりちゃんの市場はかなり広い。

 さらにりりちゃんは口癖のように「ケア」という言葉を使う。男が求めているものとは、究極的にはセックスなどではなく、母親が息子にするような「心のケア」であることを、りりちゃんは25歳にして知っているのだ。そして、そういう男たちに対してりりちゃんが最初にすることは「信頼関係を築くこと」である。なぜなら信頼関係が築けないと、お金は出してくれないからだ(……当たり前)。信頼関係を築くコツをりりちゃんは女たちにアドバイスするのだが、これも基本的には「あなたを頼りにしています」「あなたって凄いです」という「頼る」「褒める」のリピートという古典的なアピールである。

 とはいえ、いきなり大金が必要だ……という話をしたら、いくらなんでも男は不安になるだろう。そこでりりちゃんはこうアドバイスする。

「お金のことを言いだしたら、おぢは不安になるから、ケアしてあげて」

 そう、不安になったおぢには「私のこと嫌いになっちゃった?」などと甘えればよいのだ。またお金を得た後は「盛大に、おぢのおかげで助かったよ、と伝えてあげるのがアフターケア」とも力説する。褒めて褒めて感謝して感謝して、そうすることで男性に「お金を出してよかった」と良い思い出に変換させるのである。さらに「パパ活している子は、お金をたくさんもらったらバイバイ!というのがあるけど、それはダメ」と釘を刺すこともしている。と、こんな風にりりちゃんのマニュアルを丁寧に追いかけていくと、やっていることは非道かもしれないが、男性側からしたら最初から最後まで「若い女性をオレの財力で救えた」と自尊心が満たされるシステムになっているよね……とついつい感心してしまうのである。

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酷いマニュアルは山のように