年度替わりからの新生活が始まり、はや数週間。そろそろ疲れが出てくるころかもしれません。
そんな時だからこそ、混み合う観光地に出かけるのとはひと味違ったGWの過ごしかたで、心や体の疲れをリセットするのもいいですね。
お疲れの人にこそおすすめなのが「お遍路」。「年をとって時間ができた人が何カ月もかけてめぐる」「会社をやめて自分探し」などのイメージを抱く方が多いお遍路ですが、実はもっとずっと気軽に挑戦できるんです。

朝早くから多くの巡礼者が訪れる、1番札所・霊山寺の山門。煩わしい日常も忘れられそう
朝早くから多くの巡礼者が訪れる、1番札所・霊山寺の山門。煩わしい日常も忘れられそう
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お遍路ってどんなもの?

お遍路のきっかけを作ったのは、宝亀五(774)年に讃岐・屏風ヶ浦(現・香川県善通寺市)で生まれた真言宗の開祖・弘法大師(空海)です。四国各地で山岳修行を重ねたのちに31歳で遣唐使の一員として唐に渡り、帰国後に真言宗を開きました。現在のお遍路のルートとなっている八十八ヶ所の霊場も、弘法大師が選び、開いたといわれます。
霊場めぐりは、弘法大師の弟子・真済が師を弔うために始めたという説や、弘法大師に非礼を働いた衛門三郎がその行いを悔いて、後を追ったのが始まりとする説などがあります。
当初は真言宗の僧侶が修行のために巡礼していましたが、次第に一般庶民も参加するようになり、現在の形に。四国では今も弘法大師が札所をめぐり続けていて、お遍路で弘法大師の功徳を得られるとされています。

ライフスタイルに合わせて1カ所から

1番札所・霊山寺から88番札所・大窪寺まで順にめぐると、総延長はなんと1400km。険しい道もあってかなりきつい行程ですが、徒歩以外にも自転車やバイク、車など、いろいろな手段があります。旅行会社で申し込めるバスツアーやお遍路タクシーなどもあるので、交通手段の確保や体力が不安な人も安心です。
また、一度でめぐる必要がないというのもお遍路の特徴。
八十八ヶ所を一気にめぐることを「通し打ち」、複数回に分けてめぐることを「区切り打ち」と呼びます。
「区切り打ち」の中でも、とくに徳島・高知・愛媛・香川と各県ごとに区切ってめぐるのが「一国参り」。徒歩で「通し打ち」をするとひと月以上はかかってしまいますが、1カ所からなら出張や旅行のついでに気軽に楽しめますね。

旅行を兼ねても楽しい「島へんろ」

ところで、「島へんろ」というのはご存じでしょうか。
本場・四国の霊場を模して、八十八ヶ所の霊場を整備している島が瀬戸内海を中心に、全国に20〜30ほどあるといわれています。
現在は廃れてしまった島もありますが、積極的にPRしている島をいくつかご紹介します。
・神島八十八ヶ所めぐり(岡山県・神島)
江戸時代に開設されたといわれ、ほぼ完全な形で現存。徒歩でも1泊2日で回れる全長約29km。
・島四国八十八ヶ所(香川県・小豆島)
小豆島にある、通称「島四国」。本場の10分の1程度の規模で、車なら2〜3泊、徒歩なら7〜8泊程度で回れる。霊場ごとに植えられた88種類の桜も見どころ。
・島へんろ(山口県・周防大島)
「大島大橋」から時計回りで島を一周することで、お釈迦さまがたどった悟りの道を順に進めるというコースが整備されている。瀬戸内海の風景も楽しみ。
・五島八十八ヶ所霊場(長崎県・福江島)
唐から帰国した際に最初に上陸して真言密教を布教したことから、弘法大師ゆかりの霊場がある。
これ以外にも「島へんろ」ができる島はありますが、いずれも島の暮らしに触れることができるのが魅力。かなりリフレッシュできそうです。

春はお遍路にもベストなシーズン!

春の季語ともなっている「遍路」。
過ごしやすい気候のおかげもあってか、この時季に四国を訪れると、独特の白装束に身を包んで杖を持って歩く「お遍路さん」を各地でたくさん見かけます。
本場四国で始めるもよし、島への旅行を兼ねて楽しむもよし、ひそかに憧れていたという方はさっそく挑戦してみてはいかがでしょう。