イトーキ 専門職 小島勇(こじま・いさむ)/1965年生まれ、山形県出身。2007年、入社。国産材活用ソリューションEconifaの立ち上げメンバーとして国産無垢材の製品開発などに従事。22年から兼任でバイオ系素材の研究も始める(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2023年9月4日号にはイトーキ 専門職 小島勇さんが登場した。

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 国産木材の価値をデザインの力でさらに高め、オフィスで働く人たちに快適さを提供したい──。その一心で、国産木材を生かした家具作りに身を投じてきた。

 全社的にプロジェクトを開始したのは、2010年。国内で消費する木材のうち国産材が占める割合が3割弱に留まり、国が国産材の利用促進のための法律を施行した頃だ。担当者に抜擢されたが、当時のイトーキには国産木材を扱う工場とのつきあいがほとんどなく、調達ルートの確保から着手した。

「林野庁の会合に参加したり、取引先の方につないでもらったりして、少しずつネットワークを広げていきました。とても大変でしたが、木への愛情が深い人々との出会いに恵まれました」

 伐採された木は製材、乾燥、加工の工程を経て、家具になる。どの現場にも足を運び、商品化への協力を願い出た。こうした積み重ねを経てできたのが、オフィス向けの大型テーブル「silta(シルタ)」だ。天板の長さは最大9メートル60センチにも及ぶ。一枚板のように見えるが、アルミの芯材の表面に3ミリの厚さのクリの木を接着している。

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