なぜそんなことが可能なのか。コンビニで働く私たちは、日本の季節感というものを常に意識しているからです。
たとえばあるオーナーさんは、日本の歳時と、それに合わせた「重点的に力を入れるべき商品」を一覧表にして、「細かい季節感」をもってお客様をお迎えするよう、いつも意識しているそうです。
歳時は、たとえば1月なら、元日、人日の節句(七草)、鏡開き、大寒など。私たちはそれに合わせて「では重点商品は餅にきな粉、年賀状、七草がゆだな」などとそろえていく。7月なら七夕、中元、盆、夏の土用、など歳時に合わせた商品を意識して品ぞろえをする。
季節の移ろいを感じながら暮らすことで、充実感や心のゆとりも生まれてくるのではないでしょうか。私たちの仕事を通じて、日本の季節や文化を、外国から来られる方や日本の皆さんにぜひ感じていただき、ワクワクしてもらえたら。そう願っています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2023年8月28日号