元国会議員秘書でコラムニストの尾藤克之さんは今回の炎上騒動をどう見るのか。海外研修は当たり前にあるし、今回、特別にお金がかかっているとはいえない、とした上で問題点をこう語る。

「国会議員は公人な訳ですから発信にはもっと慎重になるべきですよね。エッフェル塔の前でポーズを取っている写真もアップしていましたが、有権者が見たらどう映るのか。そういう意識が薄く、分別がつかない。軽すぎます」

 岸田首相の息子、翔太郎氏も2022年末に首相公邸で親族らと忘年会を開き、組閣時の“ひな壇”に並んで記念撮影したり、参加者が赤じゅうたんの上で寝っ転がってアイスクリームを食べたりしている写真が週刊文春で報じられ、ネットなどでも大きく炎上した。

 尾藤さんは「根は同じ」と話す。

「私的な写真は外に出さない、写る時はスーツが基本です。外に出たとしても恥ずかしくない格好をしておくべきです。しかし、翔太郎氏も、ピースサインをしたり、私服で写ったり、立場に相応しい姿ではなかった。自分が国民からどう見られるかに意識がいっていないという点で今回の炎上と同じです」

 一部では、飛行機のどのクラスで行ったのかについても話題になっている。エコノミーなのか、ビジネスなのか、それともファーストクラスなのか。尾藤さんは「おそらくファーストクラスで行っているのではないか」と話す。

「国会議員にはJRと飛行機のチケットが支給されていますが、席に関する規定はないんです。普段から、上のクラスに乗っているはずですから、今回だけエコノミーというのは考えにくい。移動にかかった費用や宿泊費は、国民生活がここまでひっ迫しているわけですから、きちんと説明するべきだと思います」

 尾藤さんは、今井議員の政治資金に関する発信についても違和感を覚えたという。

「『党費と参加者の自己負担』という趣旨の発言をされていましたが、政治資金は基本的に税金です。『国会議員なのに知らないの?』と思ってしまいます」

 さらに今回、これだけの炎上騒ぎになっているのには、岸田政権の政権運営のまずさにも要因があると尾藤さんは見ている。

「岸田政権に対するアレルギーが相当あると思います。増税であったり、マイナンバーであったりとあらゆる政策が空回りしていますよね。表に出ているよりも国民の間に不満は溜っていると思います。岸田首相としては息子さんの件もあり、マイナスになることは避けたいはず。そこに今回の件ですから。自民党への風向きは相当厳しいですよね」

 この炎上騒動は、岸田政権ひいては自民党にどのような影響を与えるのか。

(AERAdot.編集部・唐澤俊介)

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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