「Xperia Z4 Tablet」。メニューランチャーを表示したところ
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「Galaxy S6」と「Galaxy S6 edge」
「Galaxy S6」と「Galaxy S6 edge」
京セラの太陽光発電パネルを組み込んだ高耐久モデルのスマートフォン
京セラの太陽光発電パネルを組み込んだ高耐久モデルのスマートフォン
指紋認証機能付きキーロックなどのコンシューマー向きの商品
指紋認証機能付きキーロックなどのコンシューマー向きの商品
虹彩認証中。両目を画面上の指定位置に合わせる
虹彩認証中。両目を画面上の指定位置に合わせる

  3月2日~5日、スペインのバルセロナでIT・モバイル関連展示会「モバイルワールドコングレス(以下、MWC)」が開かれた。主催者発表によると、出展は2000社以上、入場者は200カ国以上から9万8千人以上集まり、この規模は世界最大級だといわれている。

 その規模の大きさから、MWCは2015年のIT・モバイル業界のトレンドを予測するのに欠かせない展示会だ。今回はそこで、注目を集めた展示品や新製品をご紹介しよう。

【MWC2015の様子を写真特集で】

●京セラからは太陽光で動くスマートフォンも

 ソニーモバイルは、タブレットの新製品「Xperia Z4 Tablet」を発表した。この製品は、防水防塵性能もさることながら、その軽さに驚かされる。同時発売のキーボードと組み合わせても、重さは800グラムを下回るのだ。Bluetooth接続のキーボード「BKB50」を連結すれば、画面下にWindowsのスタートボタンのようなメニューが現れる。また、キーボードと一体化することで、画面の角度調節も可能だ。この形状だけ見ると、ほとんどノート型パソコンと遜色ない。

 一方のスマートフォンでは、「Xperia」シリーズのフラッグショップとなる「Z4」のリリースが期待されたが、防水性能にこだわった「Xperia M4 Aqua」の発表にとどまった。

 プロトタイプながら注目を集めたのは、京セラの太陽光発電パネルを組み込んだスマートフォンだ。なんと、ディスプレーに光を当てて充電できてしまうのだ。電源確保が難しいアウトドアでの使用を想定したもので、本体の耐久性も高くなっている。

 このほか、SanDiskは世界初の容量200GBのmicroSDを発表した。フロッピーディスクを知る世代にとって「この小さなチップに…」と技術の進歩の早さを実感させられた逸品だ。

 さらに、第5世代移動通信方式、いわゆる「5G」の展示も見られた。NTTドコモは今年2月、エリクソンとの共同屋外実験で受信時4.5Gbps以上という高速データ通信に成功した。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックまでの実用化を目指すという。

●「指」で触れるか「瞳」を見るのか 個人認証はどちらが優位?

 最近のスマートフォンで多く採用されている、指紋認証用のセンサーモジュールを取り扱う企業の出展もあった。香港にあるFingerQは、指紋認証機能付きキーロックなどのコンシューマー向け商品を展示した。FingerQ Japanによると、アプリケーション開発用のSDK(software development kit)を提供しており、それを使うことで、一般の人も指紋認証を利用したソフトを開発できるという。例えば、友達限定のチャットソフトや、あらかじめ認証された人でなければ読めないニュースアプリなどが挙げられる。また、ハード面においても、それらのサービスに必要な認証用端末の製造も同社が請け負うという。

さらに、同社の代表取締役・田邊正廣氏はこう説明する。

「アイデアを持っている人やソフト開発ができる能力がある人材、指紋センサーを作っているメーカーなどがそれぞれは存在するんですけど、これをトータルで面倒見てくれる企業がありませんでした。それをウチで全部サポートするというのが、この取り組みの特徴です」

 まさにアイデアさえあれば、指紋認証を組み込んだ新商品をリリースすることができるというわけだ。

 指紋認証の可能性もまだまだ広がりそうだが、新たな生体認証の取り組みとして虹彩認証が注目されている。これは、個人で異なる目の虹彩を読み取って認証する仕組みだ。

 富士通は、虹彩認証ができるスマートフォンの展示を行った。スマートフォンに取り付けた赤外線LEDと赤外線カメラを利用したもの。使用者の虹彩を登録する際は、専用画面が現れる。ここにパンダの目(写真参照)のように、自分の目の位置を合わせれば、登録が完了する。虹彩を照合すれば、画面をロックしたり、解除したりすることができるのだ。

 虹彩認証は既に実用的な技術だが、スマートフォンに搭載し利用するのにはいくつかの課題があった。機器の小型化が困難な点や、認識するためにセンサーに目を近づける必要があったからだ。それらの課題を克服し、実用可能なレベルにしたのがこのシステムだ。これらの機能を搭載した端末は2015年中にリリースが予定されている。
(取材・撮影:dot.編集部 北元 均)

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