佳子さまが祈りを捧げる姿は、犠牲者に向き合う姿勢が伝わるものだった。ただ佳子さまに限らず、この拝礼式での皇族の滞在時間は、いずれも10分間に満たないものだった。
参列の手順や滞在時間はあらかじめ決められ、その場の皇族の意思で変えられるものではない。ただ、献花もなく、黙礼をして8分ほどで退場する様子に、さみしさを感じる遺族はいる。
台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡で2人の兄を亡くした植本八重子さん(89)は「帰ってしまうのが、早いですね。せめて遺族の献花まで見守ってくださればうれしい」と話した。
■秋篠宮家は祭祀に熱心
その華やかさから、容姿やファッションに注目が集まる佳子さまだが、宮内庁が明らかにしている日程を見ると、重要な祭祀にほぼ参列し、慰霊にかかわる公務にもたびたび携わっていることがわかる。
宮中祭祀は天皇の私的な行事とされるため、その内容は国民にほとんど知られていない。
「実は、祭祀は外で思うよりも過酷な務め」と話すのは、宮中祭祀を担当する掌典職を経験した人物だ。
「祭祀に臨む天皇や皇族方は、強い緊張感と集中力そして気迫をもって儀式を務めます。皇室の高齢化が問題になった際に、『公務ができなくとも祈ってくだされば』という意見もありました。しかし、その祭祀に伴う『祈り』がどれほど大変なものか……。極寒のなか、祈り続ける儀式もあります。天皇や皇族方は、お疲れになった表情や様子を決して見せることはありません。しかし、全身全霊で臨む儀式のあとの疲労感は、相当なものではないでしょうか」
この人物は、「秋篠宮家は祭祀に熱心。自分が知る限り秋篠宮さまが公務以外で祭祀を欠席されたことはほとんどなかったと思う」と話す。
天皇家の祭祀は、いくつかの種類に大別できる。なかでも、天皇が自ら御告文(おつげぶみ)を奏上し、自ら祭祀を執り行う大祭は重要な祭祀だ。それに熱心に参列しているのが、秋篠宮家の佳子さまだ。