第40回となる【ブリット・アワード】が、現地時間の2020年2月18日に開催され、英ラッパーのデイヴとスコットランド出身のシンガー・ソングライター、ルイス・キャパルディという二人の比較的新しいU.K.アーティストが躍進する結果となった。
デイヴは最優秀賞である<マスターカード・アルバム・オブ・ザ・イヤー>を、デビュー・アルバム『Psychodrama』(サイコドラマ)で受賞した。ラップ・アルバムが同賞を獲得するのは、ストームジーの『Gang Signs & Prayers』が2018年に初めて受賞してから3年ぶり2回目となる。そのストームジーも今年の【ブリット・アワード】で最近のヒット曲メドレーのパフォーマンスを披露し、2018年以来となる<ブリティッシュ男性ソロ・アーティスト賞>を受賞した。2回同賞を受賞したアーティストは2012年と2015年に受賞しているエド・シーラン以来だ。
デイヴはピアノを弾きながら『Psychodrama』のシングル「Black」の印象的なパフォーマンスをステージで披露したが、ボリス・ジョンソン英首相を“本物の人種差別主義者”と批判する歌詞を付け加えたほか、2019年にロンドン橋で起きた刃物による襲撃事件で命を落としたケンブリッジ大学の学生2名を追悼した。
大ヒット曲「サムワン・ユー・ラヴド」をステージで披露したキャパルディは、<ベスト・ニュー・アーティスト賞>と<ソング・オブ・ザ・イヤー>(「サムワン・ユー・ラヴド」)でを受賞し、今回の授賞式で複数の賞を受賞した唯一のアーティストとなった
<インターナショナル・女性ソロ・アーティスト賞>は、リゾやアリアナ・グランデなどの人気アーティストを抑えてビリー・アイリッシュが受賞した。ビリーは授賞式で、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』のテーマ曲を兄のフィニアスとザ・スミスのジョニー・マー、そして作曲家ハンス・ジマーと共にライブ初披露している。「ノー・タイム・トゥ・ダイ」は彼女にとって初の全英No.1ソングとなりそうだ。
<ブリティッシュ女性ソロ・アーティスト賞>は、世界的ヒットとなった「Don’t Call Me Up」のパフォーマンスを冒頭で披露したメイベルが受賞し、<ブリティッシュ・グループ賞>は、フォールズが初受賞した(2016年にノミネートされたものの、この年はコールドプレイが受賞)。フロントマンのヤニス・フィリッパケスは受賞スピーチで、「来年はこのカテゴリーにもっと多くの女性がいることを望む」と述べたが、この日は受賞アーティストの多くが、ジェンダーが限定されていないカテゴリーにおける女性アーティスト/グループのノミネートが比較的少なかったことに言及した。
今年の【ブリット・アワード】は3年連続でコメディアンのジャック・ホワイトホールが司会を務め、それぞれがパフォーマンスを披露したリゾやハリー・スタイルズなどと軽妙なトークを繰り広げた。また、<インターナショナル・男性ソロ・アーティスト賞>を受賞したタイラー・ザ・クリエイターは、以前英国への入国を禁じられたことに受賞スピーチで言及し、テレーザ・メイ前英首相に感謝を述べつつ、「家でイラっとしてるだろうね」と皮肉った。
◎【ブリット・アワード2020】受賞リスト
<マスターカード・アルバム・オブ・ザ・イヤー>
『サイコドラマ』デイヴ
<ソング・オブ・ザ・イヤー>
「Someone You Loved」ルイス・キャパルディ
<ブリティッシュ男性ソロ・アーティスト賞>
ストームジー
<ブリティッシュ女性ソロ・アーティスト賞>
メイベル
<ベスト・グループ賞>
フォールズ
<ベスト・ニュー・アーティスト賞>
ルイス・キャパルディ
<インターナショナル・女性ソロ・アーティスト賞>
ビリー・アイリッシュ
<インターナショナル・男性ソロ・アーティスト賞>
タイラー・ザ・クリエイター