竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 5月からコロナの5類への移行が決まり、日本もこれから「ポストコロナ」の時代に対応していくことになります。

 この3年間、私は「危機対応」の意識を強くもち、トップとして現場の先頭に立ち、社員の自主性がうまく出てくる形を模索しながら仕事をしてきました。今後はこれまでのウィズコロナからポストコロナへという変化対応が求められる大事な時期になってきます。いま一度、社員全員がお客様の立場に立って現場を見て、当事者意識を持って業務にあたっていくことが必要です。それはそれぞれが「経営マインド」を持つということ。「全員経営」のような形で、2025年の創業50周年を迎えたいと考えています。

 まずは、1月から全国118人の支店長を対象に、私が講師となり「支店長研修」を実施。事前の課題図書とした柳井正さんの『経営者になるためのノート』(私は今でも何度も何度も読み返しています)をもとにした討論のほか、私の過去の失敗から学んだことなどもさらけ出しながら共に働く仲間への信頼と「お客様のために働いている」というベースの大切さ、これからのさらなるチャレンジを伝えました。

 全国を4チームに分け、東京、名古屋・大阪、岡山・九州の会場で延べ9回、3時間ずつ。最後の4回は懇親会もしました。支店長の皆さんも似た悩みがあったり、話すことで気づきを得たり、非常に刺激を受けたようです。

 私にも気づきがありました。ローソンに来て9年。折に触れ全社ミーティングで話したり、節目には全社員にメールを送ったり、「私の考えはだいたい伝わっているだろう」と思っていました。でも研修後、支店長からは「竹増さんってこういう人だったんだ、と初めて知りました」という声も。伝えたいことは、同じことでも言い続けることが大事と、改めて痛感しました。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長